Liberal Artsへ?

Duncan Hewitt “Liberal Applications” NewsWeek February 22 2010, pp.44-45


現在中国で、ハーヴァードやイェールのような米国のメジャーな大学ではなく、小規模のリベラル・アーツ系カレッジを目指す高校生が増えているという。この記事で採り上げられているのはメイン州のBowdoin College*1だが、このカレッジへの中国からの志願者は最近数年で3倍に増えている。ただ、リベラル・アーツ系を卒業して中国に帰っても、就職にそれほどプラスになるわけではない。一方、中国国内の大学でもリベラル・アーツを見直す動きがある――


The country needs a workforce with the skills and creativity to help move away from low cost manufacturing and, in economic terms, move up the value chain. And some educators believe liberal-arts training is vital to help China deal with its increasingly complex new realities. (p.45)
実際、上海の復旦大学ではこれまでの伝統を崩し、学生は専攻を入学時ではなく二年次に決定することができるようになった。広州の中山大学では独立したリベラル・アーツ・カレッジを創設した。これに対しては、「エリート主義」という批判、また今中国に必要なのは寧ろ即戦力の「技術的スキル」を養成する職業教育だろうという批判がある。また、「批判的思考を促進するようデザインされた教育アプローチを中国の政治体制が実際どれほどサポートしうるのか」という疑問もある。これに対して、北京師範大学と香港バプティスト大学が共同で広東省珠海市に設立した「聯合国際学院(United International College)」*2のYet Edmund Kwok副校長は「教養教育」は中国及び多国籍企業の人材ニーズに適合しており、どちらも「広い視野を持った人(people with wider horizons)」を必要としていると述べている。


さて、『朝日』の記事をコピーしておく;


学生への「職業指導」、大学・短大に義務化へ 文科省

2010年2月24日3時2分


学生が自立して仕事を探し、社会人として通用するように、大学や短大の教育課程に職業指導(キャリアガイダンス)を盛り込むことが2011年度から義務化される。文部科学省が25日、設置基準を改正し、大学側もカリキュラムや就職活動などの支援体制の見直しに入る。

 義務化の背景には、厳しい雇用状況や、職業や仕事の内容が大きく変化するなかで、大学側の教育や学生支援が不十分という指摘がある。さらに新卒就職者の3割が3年以内に離職するなど、定着率の悪さも問題になっていた。このため、大学教育のあり方を議論していた中央教育審議会文科相の諮問機関)でも、学生支援の充実や、職業指導を明確化する方向性を打ち出していた。

 就職支援に関して、各大学や短大は、就職支援センターやキャリアセンターを学内につくって対応している。義務化で、卒業後を意識したカリキュラムやプログラムにし、すでに一部の大学で導入されている職業を考える授業やインターンなどを単位として認定するなどの動きが広がりそうだ。

 また就職指導への教育は、7年ごとに受ける第三者の認証評価機関などの評価対象にもなり、結果が公表される。受験生の大学選びの理由の一つになる可能性もある。

 日本学生支援機構のまとめでは、就職セミナーやガイダンスなどを実施する大学は全体の91.8%、短大で95.7%。職業意識を育てることを目的にした授業科目を開設している大学は74.3%、短大は72.4%となっている。

 具体例として、金沢工業大学では、入学時から4年生まで、必修の科目として将来の進路を考えるカリキュラム「社会で自分を活(い)かして生きていく力」を実施している。また、東京女学館大学では、コミュニケーション能力、IT能力など社会人として必要な10の能力「10の底力」を定めて4年間で基礎、専門科目を通じて伸ばす試みをしている。

 ただ、義務化で、大学の正規授業での職業指導が重点化されると、「就職」が目的化してしまい、本来の学問・研究がおろそかになるという懸念もある。また、もともと就職指導に重心を置いた専門学校との境目がなくなるという指摘もある。(編集委員・山上浩二郎)
http://www.asahi.com/national/update/0224/TKY201002230502.html

See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100219/1266520878