「ねじれ」(メモ)

改憲は必要か (岩波新書)

改憲は必要か (岩波新書)

杉田敦*1「「押し付け憲法」は選びなおさないと、自分たちの憲法にはならないのではないか」 in 憲法再生フォーラム編『改憲は必要か』*2、pp.49-70


少し抜書き。


ちなみに改憲論者のかなりの部分が、フランス革命をはじめとする革命というものに不信感を抱いているようであり、逆に護憲論者のほとんどが、フランス革命などは評価しながら、日本の憲法のつくり直しは否定していますが、ここに一種の「ねじれ」があります。憲法典をつくり直すというのは、一挙に政治体制をつくり直すという考え方と不可分であり、これはまさに革命の思想だからです(その革命の方向性が、ある立場から見て「反革命」と見えるものかどうかは、この際別の話です)。これはフランス革命だけの問題ではありません。アメリカが憲法典を持ったのも、イギリスの植民地だったこの国が、イギリスのやり方に反発し、一種の革命としての独立をとげたことと関係しています。政治体制が徐々に変化して行くよりも、ある瞬間に一挙に変化することを望むという点では、憲法典の海底に期待する議論は、いずれもある意味で革命の思想なのです。
これに対し、イギリス的なコンスティチューションという考え方、つまり、法と慣習の総体としての制度構造をそう呼ぶ考え方は、革命的な思想ではありません。(後略)(p.59)
日本における〈保守主義〉の困難。
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070116/1168966875