承前*1
J. M. G. Le CLÉZIO “The Savage Detective” http://www.nytimes.com/2009/11/08/opinion/08le-clezio.html
ル・クレジオ*2によるレヴィ=ストロース追悼文。訳者が明記されていないので、また内容から察して、多分彼が英語で書いたものだろう。
『野生の思考(La Pensee Sauvage)』について触れた箇所;
ソシュールよりもヤコブソンということはあるのだけれど、その話ではなく。ル・クレジオはpenseeをforget-me-not(勿忘草)と英訳している。しかし、penseeはpansy。やはり花のかたちはかなり違うし、pansyがスミレ科スミレ属なのに対して、forget-me-notはムラサキ科ワスレナグサ属。ところで、pansyは三色菫だが、その読み方はサンショクスミレではなく、サンシキスミレが正しいということを知った。今までずっとサンショクスミレと言っていたのだが。ウィキペディアの「パンジー」の項には、「名前の起源と特記事項」として、
His edifice, structuralism — the theory of a structural unity in all cultures — was built on the work of the linguist Ferdinand de Saussure and on the sociology of Marcel Mauss. But Mr. Lévi-Strauss’s great achievement was that he managed to reshape the simple art of gathering information about so-called primitives. In his book “La Pensée Sauvage,” published in 1962, he showed these “primitive” people as the equals of those in the most elevated cultures of the civilized world. (In English, this title is translated as “The Savage Mind,” though the title in French may also suggest the flower called “wild forget-me-not.”)
と書かれてある。また、「芸術・文化の中でのパンジー」の記述は
花が人間の顔に似て、8月には深く思索にふけるかのように前に傾くところからフランス語の「思想」を意味する単語パンセ(pensée)にちなんでパンジーと名づけられた。このその由来のために、パンジーは長い間自由思想のシンボルだった。また、アメリカ非宗教組合の文学で用いられていた。パンジーは2世紀に渡って意図的に野草を掛け合わせて作られたことから、人道主義者たちもまたこのシンボルを好んだ。信教からの自由連盟(FFRF)はパンジーのシンボルを襟ピンや文学で広範囲に用いた。エリザベス朝時代から現在にいたるまで、英語の「pansy」は女みたいな男、女々しい男、転じて男性同性愛者を意味し、男らしくない、勇気がないという意味で男性を侮辱するときの呼称としても使われる。"ponce"(「ヒモ」)という単語は「パンジー」から来ているが、現在で言う売春婦からせびりとる男という意味は元々は無かった。一方"poncey"は現在でも女みたいな奴という意味である。
パンジーはPansieとも綴られ、女性の名前として用いられることがある。ハリー・ポッターシリーズでは、パンジー・パーキンソンという登場人物が出てくる。
レヴィ=ストロースや『野生の思考』への言及はなし。
ウィリアム・シェイクスピアの『夏の夜の夢』では、パンジーの花から絞った汁が愛の妙薬として用いられている。『ハムレット』にもオフィーリアの台詞の中にパンジーが登場する。しかし、シェイクスピアが生きていた時代はパンジーの交配が行われるよりもはるかに前であるため、シェイクスピアの作品中のパンジーは英語で"heartsease"と呼ばれるサンシキスミレ(Viola tricolor)のことを指している。 1827年、ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテが絵画「パンジーの花束」を制作。 1926年、ジョージア・オキーフが一輪の黒いパンジーを描いた「パンジー」を制作。引き続き1927年には「白いパンジー」を制作。 D・H・ローレンスは「パンジー」という題の詩集を書いている。 パンジーは刺繍から陶芸までのアーツ・アンド・クラフツで好んで用いられるイメージでもある。パンジー・ディビジョンという名前のクイアコアの音楽バンドが存在する。
- 作者: クロード・レヴィ=ストロース,大橋保夫
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1976/03/31
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 88回
- この商品を含むブログ (151件) を見る
- 作者: Claude Levi-Strauss
- 出版社/メーカー: Adler's Foreign Books Inc
- 発売日: 1985/06/01
- メディア: マスマーケット
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
The Savage Mind (Nature of Human Society)
- 作者: Claude Levi-Strauss,John Weightman,Doreen Weightman
- 出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr (T)
- 発売日: 1966/06
- メディア: ペーパーバック
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (3件) を見る