「壁」を巡って幾つか

承前*1

村上春樹氏の”Always on the side of the egg”*2http://0000000000.net/p-navi/info/column/200902180109.htmに全文引用されている。
さて、


システムは人間の手で作られたもの。人間が作り替えることができるもの。The System did not make us: We made The System. システムを絶対視して、偶像にするな……と言っているようだ。旧約聖書的な響きがする。
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20090218/1234926939
「壁」=「システム」と思考停止に関して先ず想起されるのは、同じイェルサレムで死刑判決を受け・処刑されたアイヒマンだろう。また、「壁」というと、やはりピンク・フロイドThe Wall*3。ただ、さらにここでは「壁」と私が別物ではなく、私たち一人一人が実は「壁を構成する煉瓦(another brick in the wall)」なのだという認識が歌われている。ラカン流に言えば、「卵」は殻がなければオムレツになってしまう。私を守る殻と「壁」の関係はどうなのかという問題に突き当たる。
授賞式に出席すべきかどうかという逡巡。これに関して、決定不能性の試練を経ない決定は決定に値しないという(例えば『法の力』や『他の岬』での)デリダの思考*4を喚起しておくのは全く的外れとはいえないだろう。
法の力 (叢書・ウニベルシタス)

法の力 (叢書・ウニベルシタス)

他の岬―ヨーロッパと民主主義

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