ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』の國分功一郎氏の訳註をメモ。
「理性は、その思弁的関心の中では、単に統制的な意味のみをもつ諸〈理念〉を形成することをわれわれは知っている」(第三章、p.124)に対して;
「統制的regulatif/regulativ」は、「構成的constitutif/konstitutiv」と対で使われるカント用語。構成的原理といえば、認識を、一切の可能的経験の限界を超えて拡張するための原理を指し、対し、統制的原理は、与えられた諸条件のもとで何をなすべきかを教える原理である。有り体に言えば、構成的とは認識そのものを形づくること、統制的とは認識を方向付けることを指す。理性の理念とは、魂と世界と神の三つを指し、それらは、経験的領域での悟性の働きを方向付けるための統制的原理である。だから理性の理念は、経験的領域で「これ」と名指せるような対象、「規定された対象」を持たない。(p.185)
- 作者: ジルドゥルーズ,Gilles Deleuze,國分功一郎
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