http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080902/1220345327
そういえば、私の翻訳家デビューは英国でTravelersとかTinkersと呼ばれるジプシー(ロマ)についての『都市社会のアウトサイダー』という本だったのだ。
- 作者: D.シブレイ,沢谷豊
- 出版社/メーカー: 新泉社
- 発売日: 1986/05
- メディア: 単行本
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- 作者: David Sibley
- 出版社/メーカー: Palgrave Macmillan
- 発売日: 1981/11
- メディア: ハードカバー
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しかし、ジプシー差別の根元には、ジプシーが一般農民にはない力を持っているとされ、それが両義性を帯びていたということがあるだろう。ジプシーといえば占いと結び付けられるが、そのほかにも音楽がそうだし、(Tinkers(鋳掛け屋)と呼ばれるように)金物を加工したり修理したりする技術、或いは山の中で熊を捕まえて飼い慣らす技術がある。世俗化が進み、両義的な力への信仰*1が衰退すると、ただの汚い浮浪者になってしまった。狂人が(神も悪魔も関係ない)ただの病人になってしまったように。
ところで、私の先祖は牛商人だったといわれている。ジプシーもヨーロッパでは馬商人、博労として知られている。また、現代では、馬ならぬ中古車のディーラーに従事する人も多い。先祖も農民にとってはジプシー的な存在であったわけだ。馬から自動車へというのとパラレルかどうかはわからないが、祖父は千葉県でもかなり初期に自動車の運転免許を取り、館山で運送屋をしていたこともある*2。
*1:両義的な力と差別については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080610/1213065637やhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080729/1217311769も見られたい。
*2:但し、数年で東京に出てきてしまった。私が子どもの頃、祖父はよくチラシの裏に若い時代の回想を書き綴っていたのだが、それがどこに行ってしまったのかは知らない。