鉄道と小説(原武史)

沿線風景 (講談社文庫)

沿線風景 (講談社文庫)

原武史*1『沿線風景』から。
神奈川県湯河原町の「西村京太郎記念館」*2が言及され、それを踏まえて曰く、


1958(昭和33)年に刊行された松本清張『点と線』*3あたりから、鉄道とつながる小説といえば推理小説になってしまった。その大成者が西村さん*4と言ってもよい。
けれども、2007年芥川賞を受賞した青山七恵『ひとり日和』*5河出書房新社、2007年、河出文庫、2010年)は、純文学であっても、なにげない都会の鉄道が重要な役割を果たし得ることを示した点で画期的であった。正確にいえば、漱石をはじめとする近代文学には鉄道がしばしば登場するから、その系譜を受け継いでいるという見方もできよう。(pp.106-107)
点と線 (新潮文庫)

点と線 (新潮文庫)

ひとり日和 (河出文庫)

ひとり日和 (河出文庫)

このテクストが最初に発表されたとき、まだ磯崎憲一郎電車道*6は出ていなかったか。
電車道 (新潮文庫)

電車道 (新潮文庫)