ブルックリンのインディアン

江口信清「「われわれに、くにを返してくれ」――カナダ連邦政府と先住民のせめぎあい――」(in 飯島茂編『せめぎあう「民族」と国家 人類学的視座から』アカデミア出版会、1993、pp.163-162)*1


これは「モホーク族」とカナダ連邦政府との対立関係を扱った論攷。モホーク族は元々「イロコイ五部族」の1つで、現在の紐育州一帯に住んでいたが(p.166)、米国独立革命の際に英国と組んで敗北したため、その多くはカナダに移住した(p.163)。興味深かったのは、主な論旨とは直接関係のない箇所だが、


また、堅固な木製の家屋の建築に長け、かつては石切りなども行ない、二〇世紀に入ってからは、とくに男性は高層の鉄筋の組み立て工事の専門家として、昔のまま母系の大家族がひとつのアパートを借りて、高層の建造物が林立するニューヨークに住む者も多い。とくにニューヨークのブルックリンは、ケベック州外でモホーク族が最も多く住んでいるところである。彼らの多くは、北アメリカ大陸を移動しながら高層の鉄筋の組み立て工として活躍してきた。(p.166)
という箇所。