「自殺ショー」


頻発する「自殺ショー」に罰則、「労働教養所送り」にしたら効果テキメン―広東省広州市

6月25日17時41分配信 Record China

2008年6月25日、自殺すると脅して見返りを要求する「自殺ショー」の頻発に業を煮やした広東省広州市の当局が、「労働教養所送り」という罰則を設けたところ、明らかにその数が減ったという。広東省のニュースサイト「南方網」が伝えた。

広州市公安部によると、同市ではビルや橋の上など危険な場所によじ上り、「自殺する」と大騒ぎしながら「給与未払い分の支払い」や「行政に対する不満」などを訴える「自殺ショー」を演じる“不届き者”が後を絶たない。中には、自らの苦境を世に知らしめるために、わざわざバイトを雇って「ショー」を演出する者もいるのだとか。

この「ショー」1回につき、パトカーや消防車、救急車などの出動や野次馬による交通渋滞など、その迷惑ぶりは半端ではない。「ショー」かどうかの判断も難しく、その都度関係者は振り回される羽目に。ところが、「公共資源の無駄遣いだ」と業を煮やした当局が、「自殺ショー」を数回にわたり演じた者に対し、泣く子も黙る「労働教養所送り」に処すと決めたところ、その数は目に見えて激減したという。

公安部では、「給与不払いなどは、裁判所に申し立てをすることが出来る」と呼び掛け、農民工(出稼ぎ労働者)には費用を無料にするなど、優遇措置も定めた。(翻訳・編集/NN)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080625-00000033-rcdc-cn

「自殺ショー」は中国語では「自殺秀」。これに関して、『東方早報』6月26日付けの羽戈「応対”自殺秀”、救助応高於制裁」という論説では、こうしたことはする側にとっては「迫不得已」なことであり、

対他們動用刑罰工具、無疑是以毒攻毒。它並未成功排解社会怨恨、只是将怨恨者鎖進了牢籠。怨恨層層累積、終将構成対社会公共秩序的最大動揺。
と述べている。
さて、少し古いが中国農村部の自殺についての記事;

自殺率、世界平均上回る!若い農村女性の死因、3分の1占める―中国


2008年2月3日、中国衛生部発行の「健康報」は、北京市清華大学でこのほど開催された「自殺問題に関するメディア報道フォーラム」について紹介。

参加者の1人、北京心理危機研究および関与センターの費立鵬(フェイ・リーポン)執行主任は、中国の自殺率がこの20年間「10万人に23人」の割合で、大きな増減を見せていないと発表。しかし、世界平均の「10万人に10人」と比較すると、明らかに高い発生率である。農村部での自殺率は都市部の3倍、農村部での高齢者の自殺率は都市部の5倍で、全自殺者のうち9割が農民であるという。

専門家の調査では、中国の自殺者は男性よりも女性のほうが3倍も多い。そのほとんどが農村部に住む女性。15歳から25歳までの若い農村女性の死亡原因の3分の1が自殺で、その半数以上が服毒自殺である。

また、全国の自殺者の3分の1に精神疾患はまったく見られず、自殺未遂者に至っては60%が健常者であり、衝動的に自殺に走るケースが多いとしている。このため、自殺を未然に防ぐ効果のある「悩み電話相談」などの専門機関の設立が早急に求められている。(翻訳・編集/本郷)
http://www.recordchina.co.jp/group/g15334.html

上の記事にある「服毒自殺」というのは農薬によるものである。ところで、呉飛『自殺作為中国問題』という本*1によれば、これには中国農村における医療体制の貧弱さを示している側面もあるという。農薬による自殺の場合、直ぐに病院に担ぎ込んで胃洗滌を行えば助かる場合が少なくない。そのため、都会や先進国ならば、多くの場合は自殺未遂になっていたのではないかというのだ。
因みに、自殺を巡る日本と中国の比較文化論については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070630/1183221986も参照されたい。