保衛粤語!

『読売』の記事;


広東語を守れ、広東省住民がデモ

 【香港=槙野健】香港各紙によると、中国広東省広州市で25日、住民約2000人が、中国語の方言である広東語を守れと訴えるデモを行った。


 同市の人民政治協商会議が5日、地元テレビの広東語チャンネルの使用言語を「普通話(標準語)」に切り替えるよう市長に提案したところ、住民の不満が爆発した。

 インターネット上でも「広州人の最も大切な部分に触れるな」などと怒りの書き込みが相次いだ。地元テレビはその後、使用言語を変える予定はないと表明した。

 同じ広東語圏の香港でも、8月1日に広東語擁護デモが計画されている。

 広東語の使用人口は、在外華僑などを含め計約6700万人に上る。中国当局は、長年、地方での普通話普及を進めているが、普通話の使用強制は、地方住民の反感を招くことがある。
(2010年7月27日19時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100727-OYT1T00856.htm

まあ広東人にとっては広東語こそがオーセンティックな中国語であり、マンダリン(「普通話」)などは満洲族などによってでっち上げられた中国語擬きにすぎないということはある。
こうした言語を巡るコンフリクトの背景には、中国における「ローカル・アイデンティティ」の高まりがあると言える。園田茂人『不平等国家 中国』の基になった天津、重慶、上海、広州の「四都市調査」には「私は中国人としてより、天津(重慶、上海、広州)人としての意識が強い」という文言に対する賛否を問う質問があり、それに対する「まったくそうだ」「まあそうだ」という回答の割合は、1998年で40.9%、2006年で51.2%と、8年の間に10ポイント以上上昇している(p.180)。
不平等国家 中国―自己否定した社会主義のゆくえ (中公新書)

不平等国家 中国―自己否定した社会主義のゆくえ (中公新書)

中国におけるマンダリンの普及状況についてはhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060906/1157554635を、上海語を巡るコンフリクトについては例えばhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060920/1158771844 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090209/1234161909を参照されたい。