独逸ブレーメン中国差別事件から

 魏英杰「〓*1T恤不過是多元世界的一点汚漬」『東方早報』2007年7月19日


7月初めに、独逸のブレーメン大学に留学している中国人留学生がブレーメンの街で”F-U-C-K YOU CHINA”という文字がプリントされているTシャツが売られているのを見つけた。これを「辱華」であるとして、在独逸の中国人留学生が中心となって抗議活動が行われ、駐独中国大使館やブレーメン市当局の注目するところともなり、このTシャツをデザイン・生産したPhilipp Plein International社は、”F-U-C-K YOU CHINA”とは”the Fascinating & Urban Collection: Kiss You China”の意味であるという言い訳をしたものの、最終的には謝罪し、件のTシャツの生産・販売の中止と回収を決定した。
魏英杰氏はこの事件は一民間企業のお馬鹿な振る舞いであって、中国と独逸の外交関係には何ら影響を与えるものではないとする。また、最近の世界における中国バッシング的な論調にしても、その一因にはMade in Chinaが世界に浸透することによって既存の経済的利権を脅かされる人たちのやっかみがあるのであって、「敏感的弱者」という態度で喧嘩を構えてはならず、あくまで「理智地交渉」をしなければならないと中国人に呼びかける。その上で、最近の中国における「狭隘民族主義」の動向に批判の目を向ける。
先ず、魏氏は「民族主義」一般を肯定する;


応該説、大部分人都会有一定民族主義情感。這種民族主義、是対民族−国家的一種文化認同。無論何時何地、対民族−国家抱有温情和敬意、不僅是個体的情感抉択、也是増加国家凝集和民族自信心的一種力量来源。対19世紀中期以来的中国歴史稍有了解、也可以看到、民族主義対国家走向独立輿興盛所起到的重大作用。
では、「狭隘民族主義」は中国においてどのように現象しているのか;

在這方面、主要表現形式是盲目反美、反日。比如在“9.11事件”中、部分網民所表現出来的無視普世価値和人性尊厳的瘋狂情緒、就是其典型反映。而如今再看当年的“趙薇軍旗装”風波、当時有的輿論也不無過激反応。Lin一方面、這股思潮在当前還出現了新苗頭――有些人在網上大肆宣揚“大漢族主義”、宣泄“非我族類、其心必異”的極端思惟。甚至専門有論壇、支持和鼓吹這種狭隘民族主義的情緒。
魏氏は「這種狭隘民族主義思惟不僅無助於社会進歩、還可能使国家和社会陥入内外緊張的勢態」といい、また「大漢族主義」は「社会」を「無意義的内耗」に陥れるだけだという。
これは穏当で中庸を得た議論であり、例えば最近の内田樹氏の「愛国心」を巡るテクスト*2の論旨にも通じるものだろう。また、薗田茂人氏が2005年の〈反日デモ〉に応答して書いた「「ナショナリズム・ゲーム」から脱け出よ 中国・反日デモを見る視点」(『世界』2005年7月号)*3にも対応するところがあるといえる。但し、中国で何故「狭隘民族主義」や「大漢族主義」が出てくるのかという社会的・経済的背景の考察には欠ける。
ところで、米国における中国人差別を巡る騒動については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060430/1146365821とかhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060412/1144812876で言及した。