麗江で事件に遭遇

4月7日、20時30分昆明発の「春秋航空」機に乗り、上海の虹橋空港に着いたのは23時50分頃。徐家匯の自宅に着いた時には当然ながら日付は改まって、8日になっていた。
約1週間の雲南省滞在については、色々と書きたいこともあるのだが、先ず記しておかなければならないのは、麗江にて通り魔による傷害事件*1に遭遇して、妻が負傷したことだろう。
http://www.jfdaily.com/gb/jfxww/xinwen/node1221/node19203/userobject1ai1630077.htmlには妻の談話が引用されているのだが、4月1日の午後4時過ぎ、2人で麗江古城の「黄山下段」という坂道にある店で休憩していて、金を払って店を出ようとしたら、西洋人のカップルが悲鳴を上げたのが見えた。そして、悲鳴を上げながら坂道を駆け上ってくる人もいた。何か変だなと思って、店の中に戻ろうとした瞬間、坂道を駆け上がってきた黒いTシャツを着た男がナイフで妻の後頭部を斬りつけた。血が噴き出して、私は持っていたティッシュ・ペーパーやタオルで血を拭うとともに、店の人に医生! 医生!と叫び続けた。店の主人は救急車を呼んでくれたらしく、私たちと一緒に坂道を下り*2、「四方街」という広場を越えたところにある診療所みたいなところへ先ず行き、傷口をおさえていたタオルをガーゼと包帯に換えた。そこには背中を斬られた60代のおじさんが奥さんに付き添われていた。救急車を待つ間、親戚とも連絡が取れ、駆けつけてくれた。救急車が到着して、「麗江市人民医院」へ。病院に着くと、救急治療室には何人も事件の被害者が手当を受けていて、その1人は呻き声を上げ続け、その度に付き添っていた人が没事! 没事!といっていた。目の前で傷口を縫い合わせる手術が実施されている*3。妻は幸いにも傷が狭く浅く、縫うこともなかった。しかし、取り敢えず入院ということになった。その後、病院に2泊することになる。
吉林省の観光ガイドがナイフを振り回して計20人を負傷させたという事件の概況を知ったのは夜になってから。また、被害者のうち2人は危篤状態であるというのを知ったのは翌日に出された公安局のプレス・リリースを読んでから。その日の夜には、200km離れた大理からおじさんが駆けつけて下さった。
入院生活だが、静かに療養するというのにはほど遠い。麗江市の副市長などがお見舞いに来たり、新聞記者やTV局が取材に来たりして、とにかく賑やか。上海の『解放日報』の記者(現地通信員)や新華社の記者も取材に来たので、上海、中国全国、さらには世界的にも報道されるかも知れない。事実、上海の知人たちからは新聞で読んだというメイルが入ってきた。また、日本の『朝日』も報道したということを退院後知った;


旅行ガイド、ナイフで観光客襲う 20人ケガ 雲南省

2007年04月03日

 国際的な観光地として知られる中国雲南省麗江で1日、中国人の旅行ガイドがナイフで旅行者らを無差別に切りつけ、20人がけがをした。香港紙は事件の背景に旅行業界の激しい競争があると指摘している。

 複数の香港紙が3日、伝えた。事件が起きたのはナシ族の伝統的な街並みが残る麗江古城。中国吉林省から団体を引率してきたガイドの男(25)が地元のガイドと口論になった後、近くの店でナイフを借り、通りにいた観光客や住民らを次々襲った。2人が頭を切られるなどして重傷。地元公安当局は「ガイドの男は最近、情緒不安定になっていた」としている。

 香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは、競争激化でツアー料金が格安になり、ガイドは団体客を土産店に連れて行くことで得る手数料収入に頼らざるをえないなど、ストレスにさらされていると指摘している。
http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200704030308.html

ところで、退院した後、重慶の日本領事館からお問い合わせをいただいた。最初はちょっとぴんとこなかったが、多分、

世界遺産での凶行!被害者に日本人がいたことが判明―雲南省麗江

     
  2007年4月1日午後、世界遺産に指定されている観光名所・雲南省麗江市四方街で、旅行添乗員・徐敏超(シュー・ミンチャオ)がナイフを振り回し、20人を負傷させるという傷害事件が発生した。このたび被害者に日本人女性が含まれていることが判明した。 被害にあったのは、張一梅さん30歳。日本国籍を持つ中国人女性だ。彼女の夫も被害にあっている。事件当時、2人は四方街のある喫茶店からちょうど出てきたところだった。店から出たところで、徐容疑者に出くわし、ナイフで頭を2回切られたという。その後、喫茶店経営者が救急車を呼び、病院に運ばれたという。幸いにも傷は浅く、彼女は4月3日にすでに退院している。 張さんご夫婦は麗江を立ち去る前に、救急車を呼んだ喫茶店経営者に感謝状を送った。救護車を呼んでくれたばかりか、病院にまで付き合ってもらい、深く感謝しているとのことだ。 また、4日午後、吉林市観光局の申国新(シェン・グオシン)副局長・吉林省霧氷旅行社の関係者が麗江市人民病院を訪れ、いまだ入院中の被害者11名を見舞った。しかしいまだに昏睡状態が続く、15歳の被害者の両親は見舞いを拒んでいる。(翻訳/編集・高口康太)
http://www.recordchina.co.jp/group/g7048.html
という記事を読まれてのことではないかと推測する*4。この記事にいう「日本国籍を持つ中国人女性」というのは私の妻のことなのだが、彼女は「日本国籍」は持っていない。また、「彼女の夫も被害にあっている」とあるが、私は「被害」には遭っていない。この記事のソースについては不明なのだが、複数の地元メディアが彼女のことを「日籍華人」と報道したことが根拠になっていると思う。一種の〈誤報〉に基づいてのことではあれ、ご心配をおかけしてしまい、恐縮に思う。
とにかく、もう1回しろといわれれば絶対にしたくないが、貴重な経験をしてしまったことは事実だ。
事件の背景については、『朝日』の記事でもちょろっと仄めかされているようだが、地元のメディアでも色々と詮索が続いている。