ロジャー・ウォーターズを観る

承前*1

月曜日、上海体育館でロジャー・ウォーターズ*2のライヴを観た。”Dark Side of the Moon Tour”の一環。
実は急に都合が悪くなったという人がいて、その人からティケットを譲って貰うはずだったのだが、週末に連絡がつかず。従って、当日ダフ屋(黄牛)からティケットをゲットしなければならない。月曜日は昼までに仕事を片づけ、クライアントに送信して、午後早めに晩の食材を市場に買いに行く。5時近くになって家を出て、徒歩で上海体育館へ。すでにダフ屋のおっさんたちが仕事を開始している。取り敢えず、ティケットを確保。向こうの言い値の半額以上値切って。しかし、それがとんでもない代物だったということが後で判明する。7時過ぎに入場しようとすると、ティケットのバー・コードに光を当ててチェックする警備員が一言、假!、つまり偽物と言い捨てて、〈ティケット〉を没収してしまう。つまり、先程偽物を掴まされたわけだ。すると、1人の黄牛がティケットを見せびらかしながら駆け寄ってくる。假的ma? 不是、眞的! ちょっとごねていると、代金はチェックを通過した後でいいからといって、ティケットを押しつける。今度はバー・コードもちゃんと反応して、受付を突破。本物だったわけだ。取り敢えず代金を払って一件落着。やっと会場には入れる。
ライヴは大満足。豚(「粉紅猪」)も空を飛んだし。
ミュージシャンとしては、先ず3人の女性ヴォーカリスト、P.P. Arnold*3 、Carol Kenyon、Katie Kissoonの技巧は凄い。何曲目かで”Shine on You Crazy Diamond”に突入。シド・バレットに捧げられた曲であり、バック・スクリーンにもシド・バレットの映像が映し出される。アルバムでのこの曲の要はデヴィッド・ギルモアのギターが泣きに泣きまくることだといえるのだが、リード・ギターを弾いていたDave Kilminsterという若手のギタリスト、ギルモアと比べてしまうと、ちょっと物足りない感じがしたのだ。しかし、第2部でDark Side of the Moonを演り始めると、見違えたようにいいギターを弾きまくる。勿論、そもそもピンク・フロイドがブルース・バンドだというのは承知しているけれど、今回聴いて、Dark Side of the Moonってこんなにブルースぽかったかしらと思ってしまった。”Shine on You Crazy Diamond”に話を戻すと、それに続いて”Wish You Were Here”が演奏され、〈宇宙飛行士〉が宙を舞う。”Wish You Were Here”のアコースティック・ギターのイントロが始まると、会場は一斉に手拍子。”Wish You Were Here”ってみんなで手拍子を打つような曲だったっけ。ちょっと意外。”Shine on You Crazy Diamond”でも”Wish You Were Here”でも、私は(周囲の耳を気にせず)歌ってしまったのだが、この辺りのピンク・フロイドの歌詞を殆ど暗記していたということは自分でも意外ではある。

Wish You Were Here

Wish You Were Here

Wish You Were Hereからはさらに”Have a Cigar”。アルバムではロイ・ハーパーが歌っていたが、ここではウォーターズ自身が歌う。さらに何曲か過ぎて、それまで影でひっそりとリズム・ギターを弾いていたSnowy Whiteが突然前に出てきてリード・ギターを弾き始めたのが印象的だった。豚が飛んだのは”Sheep”に合わせてだったが、豚の胴体に書きつけられた文字で覚えているのは”KAFKA RULES OK!”、”fear build the wall”、それから中国語で「Ni可以重羅歴史、但不能改変它」。
途中20分の休憩を挟んで、会場全体が合唱の渦となった”Another Brick in the Wall”を含むアンコール3曲が終わると、既に11時。

1月に来たエリック・クラプトンの時には(私は観に行けなかったが)、批評家筋には好評、(西洋人を含む)一般の観客には不評だったようだが、ロジャー・ウォーターズの場合は新聞とかを見ても、絶賛の記事ばかりのようだ。例えば、李懿「羅杰・沃特斯昨夜願ni在此」(『東方早報』2007年2月13日)*4。後はhttp://ent.sina.com.cn/f/y/Roger/を参照のこと。