「快楽のためのセックスは恥」

『読売新聞』の人生相談欄;


40代会社員。結婚5年目、妻は30代です。夫婦二人暮らしで、笑いの絶えない毎日ですが、性に関する考えが違って、困っています。私は「快楽のためにするのは恥ずかしいことで、子孫を残すのが目的」と考えていますが、妻に話してもわかってもらえません。

 結婚当初は、妻の求めに応じ数回関係を持ちました。しかし、その後も要求が続くので、「晩婚なのに色気づくのははしたない」「妻には清楚(せいそ)でいてほしい」「女を感じないからその気になれない」と言いました。

 以来妻は、私の横に座ることもなく、寝室も別となりました。日常生活は普通に続いています。

 私はそろそろ子どもが欲しいと思っています。しかし、先日妻に伝えると、「今更あなたの子どもを作る気がしない」と言われ、ショックでした。

 私は「本来の動物の営み」で家族を作りたいのです。両親も初孫を望んでいるので妻を説得したいのですが、いい方法はないでしょうか。(東京・R男)
http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/danjo/20070117sy31.htm

というお悩み。これに答えるのは作家の立松和平氏。「「あなたの子どもを作る気がしない」と妻に言わせないためには、あなたは自分の考えを改める必要があります」と一喝。これは〈裁き〉としては正しいのだろうけど、〈相談〉ではないだろう。このような考えを頑なに守る人が見ず知らずの小説家にどやしつけられたからといって態度を改めるだろうか。寧ろ却って反発して、読売も読者を1人減らすことになったのでは? きっとこのような考えを持つに至ったのは複雑なバイオグラフィカルな事情があるに違いないので、先ずそこら辺を解きほぐさなければならないのではないか。
ところで、この「R男」さんが「快楽のためにするのは恥ずかしいこと」と表現しているのが気になった。〈罪〉ではないんだ。依然〈恥の文化〉の圏内にある。