瀬谷健介*1「「精子の状態を確認して」と伝えられない女性たち 調査でわかった男女の差」https://www.buzzfeed.com/jp/kensukeseya/infertility-men
「リクルートライフスタイルが今年3月、子どもがほしいと考えている既婚、または恋人がいる20〜40代の男女それぞれ1000人を対象にして」ネット上で行った「不妊に関する意識調査」について。
あくまでも「意識調査」であって、「精子の状態」はまだ「確認」はしていないわけだ。検査する前から4割の男性が「自分の精子の状態」がよくないと認識している。勿論、ずっと中出ししているのになかなか孕まないという証拠があってのことなのだろうけど。でも、考えてみれば、これは実存的にはかなりきついことだ。女性もそうなのだけれど、孕ませる可能性或いは妊娠する可能性というのは、男女というよりも寧ろもっとプリミティヴな雄雌という準位におけるアイデンティティに関わっているように思う*2。私の経験でも、検査で精子が劣化していると指摘されたときは、自分のアイデンティティが動物性の準位で揺らいだのだった。これまでは、女性が専らこうしたアイデンティティの揺らぎに直面していたといえるだろう。〈石女〉というスティグマ化、それに伴う社会的制裁の可能性も伴いつつ。それが、男性も平等に動物性の準位におけるアイデンティティの揺らぎに向き合わなければいけないというのは当然であろう。また、「静止の状態」を「確信してほしい」という「気持ち」を伝えるのに躊躇いがあるというのは、一面では、このことによって相手のアイデンティティが動物性の準位で揺らいでしまうという可能性があることと関係があるということなのだろう。
1.自分の精子の状態が「良好」だと思う男性62・1%男性の約90%が健康状態を「良好」と思いながらも、精子の状態を「良好」と思う男性は62・1%と割合がぐっと下がる。
一方、パートナーの精子を「良好」だと考える女性は57・2%で、男性に比べて少なかった。
2.男女とも2人に1人が「精子の状態が気になった」経験精子の状態が気になった経験があると回答した人は、男性54・8%、女性49・3%だった。
その理由は、男女全体で「子どもがほしいと思っているから」(62・4%)が最も多く、「子どもがなかなかできないから」「若くないと思うから」などが続いた。
3.「自分に不妊の原因があるのでは」と思う男性は女性より少ないところが、子どもがほしいと性交渉をしても、子どもができなかった場合に、まず「自分に原因があるのでは」と疑う女性は65・7%いるのに対し、男性は44・7%と少ない。
男性の方が、自分を疑う傾向が少ないが、「パートナーに原因があるのでは」と思う男性は13・4%、女性7・1%であり、2倍の開きがあった。
4.男性の不妊につながると思う原因は?男女全体で、1位「ストレスを感じていること」(69・0%)、2位「喫煙」(62・6%)、3位「偏った食生活」(59・5%)、4位「過度なアルコールの摂取」などだった。
5.「妊活」への意識は男女ともに高い一方、検査は…男女ともに約80%が妊活に取り組みたいと思う一方、医療機関で検査を受けたいか問うと「ぜひ受けたい」が男性22・5%、女性31・4%だった。男性の方が消極的であるとわかった。
理由としては「自然にまかせたい」「検査を受けるのが恥ずかしい、抵抗がある」が多かった。
6.「精子の状態を確認して」と伝えられない女性たち男女ともに4人に3人が、精子の状態を確認してみたい、してほしい、と回答している。
ところが、「確認してほしい」と思う女性の72%が、その気持ちをパートナーに伝えられていない。
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160706/1467828185
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161109/1478709983 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161127/1480233348
*2:生物学的に備わった妊娠−出産するという機能を一度も使用しないのはもったいないと思ったのでという理由で、子どもを持った女性がいた。