鈴木伸子*1「茗荷谷・後楽園駅 地下鉄の跨線橋と高架で実感する凸凹地形」http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2016120539671.html
「丸ノ内線」を巡って。
曰く、
たしかに、茗荷谷と後楽園の間の丸ノ内線に最初に乗ったときのぞくぞくっとした幸福感はほかに喩えるのが難しい*2。その幸福感は横に置いておいて、丸ノ内線全体を考えてみる。丸ノ内線に「地上に出る区間があちこちにある」ということは東京(山の手)は実は山間部だということだろう。山あり谷あり。「地上に出る」というのは実は谷を通過すること。茗荷谷とか四谷とか。新しい地下鉄、例えば千代田線とか有楽町線は地下のずっと深いところを走っているので、山あり谷ありという地形を隠蔽してしまう。
地下鉄丸ノ内線には、茗荷谷駅〜後楽園駅付近、御茶ノ水駅近く、四ツ谷駅と、地下鉄なのに地上に出る区間があちこちにある。いずれもの区間でも印象的な車窓風景が展開するため、私は本当に小さな頃から、「丸ノ内線は地下鉄なのに地下でないところを走る不思議な電車」と思っていた。池袋駅方面からの電車が2駅目の茗荷谷駅に着くと、いきなりの地上風景。駅は切り通しの谷間にあり、駅を出てもその地形はしばらく続く。その先、進行方向右側には丸ノ内線の車庫である小石川車両基地が見える。
私の子どもの頃、丸ノ内線の車両は真っ赤なボディーに白いライン、そこにシルバーの手綱模様が入っているというサンタクロースの衣装のようなデザインで、この小石川の車庫にその赤い電車がたくさん並んでいる風景はなんとも魅力的なものだった。
東京にいる快楽というのはやはり山あり谷ありの山岳都市を生きる快楽ということになるだろう*3。これは日本ではけっこう珍しいことなのかも知れない。日本は基本的には盆地社会というか、京都が典型的なのだろうけど、街は基本的に平地であって、山(坂)は街の内外を劃する縁として位置づけられているということが多い。
東亜細亜を代表する山岳都市といえばどうしても香港。韓国でいえば釜山だろうか。日本だと、長崎や小樽など。長崎だと緒方明の『いつか読書をする日』*4とか森崎東の『ペコロスの母に会いに行く』*5、小樽だと言わずと知れた岩井俊二の『LOVE LETTER』*6 といった映画が思い浮かぶのだけど、東京の山/谷/坂を描いた映画といえば? 『君の名は。』のラスト・シーン?
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*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160922/1474551648 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161006/1475729873 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161130/1480485070
*2:これはあくまでも初体験限定の幸福感である。それも、夜間ではなく晴れた昼間の。
*3:まあ、鎌倉には及ばないけれど。
*4:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070220/1171940888
*5:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151229/1451412427
*6:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080312/1205348319 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090213/1234543149