「上海紅色風暴」

承前*1

「上海汚職」問題について「上海のメディアは相変わらず殆ど報道しない」と書いたが、この問題についての暴露本が出ている。上海ではなく海南島で発行されている『内幕追踪』という雑誌の第10期。「上海紅色風暴」と題して、全128頁の殆どを費やして、「陳良宇」問題を報じている。陳良宇の不正について、愛人問題*2も含めてかなり詳しく暴露されている。陳良宇は〈大陸の陳水扁〉に喩えられており、今後このような私生活を含めた糾弾キャンペーンが本格化するのだろうか。基本的には、現在の胡錦濤政権及び中国共産党中央の「反腐敗闘争」と陳良宇に代わって、中国共産党上海市委員会書記を「代理」している上海市長の韓正を支持する論調だが、このような「腐敗」の思想的背景として、(中国共産党の言説としては1980年代以来定番でもあるが)資本主義の悪影響による共産党員の〈精神汚染〉が言及されており、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060911/1157941299で言及した歴史教科書改革などの文化的多元化の試みも序でに攻撃されており、保守派によるバックラッシュという側面があることは否めない。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061011/1160581233

*2:愛人との間に「私生児」がいたことが暴露されている。