石剣峰「陸学藝」『東方早報』2013年5月14日*1
2013年5月13日午前、社会学者でかつて中国社会学会会長を務めたこともある陸学藝氏*2が北京にて急死。享年80歳。陸氏の学的業績は主に1970〜80年代の農村社会学、1990年代後半以降の社会階層研究に分けることができるだろう。後者は中国社会科学院のプロジェクトで、その成果は『当代中国社会階層研究報告』(2002)と『当代中国社会流動』(2004)にまとめられている。ここでは、中国社会が10の「社会階層」に分化していること、それらが如何にして元来の農民、労働者(工人)、知識分子といった階級・階層から分化してきたのかが説かれている。『当代中国社会階層研究報告』は「中国改革開放後、社会学界第一次対階層関係的変動和新階層的形成、做比較完整的表述」であり、「研究中国社会的転型的重要参考」とされる。また社会学理論という側面でいえば、これはマルクスからウェーバーへの転換でもあった。
なお、陸学藝氏の社会階層研究が惹き起こした政治的波風については、園田茂人『不平等国家 中国』*3(序章、pp.4-9)を参照のこと。
不平等国家 中国―自己否定した社会主義のゆくえ (中公新書)
- 作者: 園田茂人
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陸学藝同志治喪委員会「社会学家農村問題専家陸学藝教授病逝」http://finance.sina.com.cn/economist/xjdt/20130514/110115455891.shtml
ところで、『上海経済評論』5月14日号には、2003年に亡くなった経済学者、浦山*4についての記事が4本掲載されている。浦山は1924年に北京に生まれ、1943年にミシガン州立大学を卒業し、1945年に米国共産党に入党する一方で、1949年にはハーヴァードでヨセフ・シュンペーターの指導の下に経済学の博士号を取得した。同年、中華人民共和国建国にともなって帰国。国際的には、1988年に上海で開催されたシンポジウム『中国的経済改革:前景與問題』で、中国代表としてミルトン・フリードマン*5と討論したことで知られている。
陳良飛「浦山的選択」(pp.4-5)
余永定「浦老是我們的楷模、一個民族需要楷模」(p.6)
譚秀英「君子慎徳」(p.7)
柯白瑋「浦山和米爾頓・弗里徳曼関於中国改革的一場辯論」(p.8)
*1:http://culture.ifeng.com/gundong/detail_2013_05/14/25277116_0.shtml
*2:See eg. http://baike.baidu.com/view/600045.htm
*3:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090519/1242697722 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100114/1263492254 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100729/1280371400 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101116/1289844496
*4:See eg. http://baike.baidu.com/view/305592.htm http://wiki.pinggu.org/doc-view-34964.html
*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061117/1163727859 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080714/1216049328 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090616/1245114543 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090721/1248151776 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100712/1278894145 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110208/1297161088 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110214/1297620740