蘇州河と郭橋

淮海路の愛普生新藝坊(epSITE Shanghai)で、陸元敏の写真展「蘇州河」を観る。上から鳥瞰的に撮ったものもあれば、下から、つまり歩く人の視点で撮ったものもある。白黒。その多くは、1991年から1993年にかけて撮られたもの。蘇州河は、上海の外灘や仏蘭西租界とは別の側面、つまり工業都市、労働者階級の都市としての上海を代表してきた。しかしながら、蘇州河沿岸は1990年代以降、国営企業のリストラによって、工場の多くは操業を停止したり、郊外に移転したりして、また再開発によって、高層マンション群が立ち並ぶようになった。以前書いたかも知れないが、(アナログ)写真というのは実在論的なメディアであり、そこに映し出されたものは、かつて実在した光による化学変化の痕跡である。既に存在はしていないけれど、たしかに1991年から1993年にかけて、そのような光景は蘇州河沿岸に実在していたのだ*1
愛普生新藝坊でやっているもう一つの写真展は、李志良の「再見、郭橋」。「郭橋」とは屋根付きの橋。中国では広西の僮族の風雨橋が有名である。しかし、李志良が撮るのは福建省江西省浙江省の山間部の屋根付きの橋。

*1:愛普生新藝坊はエプソンのギャラリーなので、観ているのは、アナログのフィルムから直接プリントしたものではなく、コンピュータでスキャンしディジタル化したものをプリントしたものではある。