官立〈出会い系〉

 『神戸新聞』の記事なり;


出会いの場づくりから妊婦健診助成、再就職支援も
2006/02/20


 少子化に歯止めをかけようと、兵庫県は二〇〇六年度、男女の「出会いの場」づくりから妊婦健診への助成、出産・育児後の再就職支援まで、子どもを産み育てる各段階に応じてサポートする。県は、第二次ベビーブーム世代が出産適齢期を迎える今後五年間が、少子対策の「勝負の期間」と設定。目指すはずばり年間五万人の出生数だ。

 県内の年間出生数は〇四年、四万九千七百八十九人と初めて五万人を切り、ピーク時からほぼ半減。若い世代のライフスタイルが多様化する中、出生数の増加に向け、県は新年度当初予算案に総額約二十二億三千万円の新規施策を盛り込んだ。

 晩婚・未婚化対策として、男女の出会いを支援する「ひょうご出会いサポートセンター」(仮称)を開設し、企業や自治体に会員登録してもらう。協賛するホテル、結婚式場などが企画した「出会いの場」を会員に紹介し、会員は社員らに参加を案内する仕組み。個人での会員登録はできない。「県が仲介するので、安心して参加してもらえるのでは」と県少子局。

 男女がゴールインし、妊娠すれば、妊婦健診に助成する。感染症妊娠中毒症などの検査を集中的に受ける後期健診の費用を一万五千円まで助成。年収八百六十万円未満の世帯が対象で、妊婦のほぼ九割が含まれる。約五億三千万円を見込み、市町には、前期健診への助成を促したいという。

 出産や子育てを機に退職した女性には再就職を支援する。こうした女性を職場体験で受け入れた企業に、一人月額十万円の奨励金を最長三カ月間支給する。百人分の三千万円を計上した。

 県少子局は「専業主婦が孤立しないよう、三世代が同居できる住宅の取得支援なども検討したい」と、あらゆる角度から少子化に歯止めをかける方策を打ち出す考えだ。(石崎勝伸)
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/00048477sg200603201400.shtml

こういうことに〈いやらしさ〉を感じてしまうのは私だけなのだろうか。官が人民の下半身の心配までするなよという感じだ。カップルが公衆の面前でベタベタするのを不快に感じるという人は多いのだけれど、そのような人々がこれに不快感を抱かないとすれば、とても不思議なことだ。最初、このことは共同通信の配信によって、

産めよ増やせよ”大作戦 兵庫、5年で25万人 [ 02月20日 11時50分 ]
共同通信


 深刻化する少子化問題に対し、兵庫県は「5年間で25万人」の赤ちゃんを産んでもらおうという“産めよ増やせよ”作戦に着手する。20日発表した2006年度当初予算案に約618億円を盛り込んだ。厚生労働省は「都道府県で数値目標を打ち出した例は聞いた事がない」と話している。
 兵庫県は04年に県内の出生数が初めて5万人を割り込み、女性が生涯に産む子供の平均数(合計特殊出生率)が、全国平均の1・29を下回る1・24を記録。このため05年に少子局を設け、本格的な対策の検討を始めた。
http://www.excite.co.jp/News/society/20060220115011/Kyodo_20060220a435010s20060220115014.html

と報じられて、その「“産めよ増やせよ”大作戦」というセンセーショナルなタイトルを巡って議論も起こったのだが*1、それと上で書いた私の不快感とは関係ないのか。mika_kobayashiさん*2は、「「産めよ増やせよ大作戦」なんて、おぞましい言葉を使うのは、勘弁して欲しい。この後に学童疎開や学徒動員や竹槍訓練が続きそうで」と書いている。多分、それだけじゃない。ところで、こういうのって、民間業者から〈民業圧迫〉というクレイムはこないのかしら。
〈出会い系〉以外にも、例えば「ゴールイン」*3以前に妊娠しちゃったり、「ゴールイン」を目的(「ゴール」)としないで妊娠した場合はどうなるのかという突っ込みどころはあるだろう。
そういえば、政府から常に下半身の心配をされている方々がいますね。〈過疎地〉に住んでいますけれども。

*1:http://d.hatena.ne.jp/june_t/20060221/p1

*2:http://d.hatena.ne.jp/mika_kobayashi/20060220

*3:ところで、「ゴールイン」という言葉を未だに使ってしまう日本語のセンスは凄いと思う。