「火星移民」をテーマにしたTV番組で、現生人類の「出アフリカ」に準えて、人類の「出地球」が言われていた。まあ現生人類の前にホモ・エレクトスも「出アフリカ」しているわけだが。
さて、ごく初期のホモ・サピエンス・サピエンスのひとりに違いない「ミトコンドリア・イヴ」*1が生きていたと推定されるのは、アフリカ大陸南部の(現在の)ボツワナなのだった*2。人類はこの地に20万年前から7万年間留まっていた。その後、南西や北東の方向に移動した(勿論その地に留まった人たちもいた)らしいのだが、その人たちは決して「アフリカ」を出ようと思ったのではなく(当時は「アフリカ」という概念もなかった)端的に移動したわけだ。アフリカから外に出るルートということでは、東海岸から印度洋に出る、ナイル川を下ればやがて地中海に辿りつくと思ってしまうのだが、それは現代人だから言えることである。南のボツワナから「出アフリカ」するためには、熱帯雨林を越え、サヴァンナを越え、沙漠を越えなければならない。この時代、サハラはまだ沙漠ではなかったにしても。「出アフリカ」よりも、このようなアフリカ大陸内部での移動の方が大変だったのではないかと思ってしまったのだ。
*1:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2025/12/22/124215
*2:Cf. 大石航樹「最初の現生人類が誕生した場所、南アフリカのボツワナと特定」https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/47136 Ian Sample “Ancestral home of modern humans is in Botswana, study finds” https://www.theguardian.com/science/2019/oct/28/ancestral-home-of-modern-humans-is-in-botswana-study-finds Helen Briggs“Origin of modern humans 'traced to Botswana'” https://www.bbc.com/news/science-environment-50210701 Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/10/30/140540