もう1本!

A.Ikeguchi「ruin city」https://bythebeachs.hatenablog.com/entry/2023/04/16/213849


曰く、


福永武彦の廃市を大林宣彦が映画化しているが*1、久々に観ると幻想的な街の作りと物語の予感に満ちた序盤の10分くらいの流れと、それが単純な人間関係の矮小さに収集されていく感じが両方あって傑作とは言えないがたまにみかえしたくなる映画だ。

棚を漁ったら原作の文庫が出てきたので読んでみたがほとんど脚本はそのまま使っている印象だった。

福永武彦は舞台の柳川を特に取材はせずに書いたというが、水によって繋がれ、分断された街の腐敗していく気配がそのまま物語とリンクしていてちょっと出来過ぎな気もする。(そういう街だからこういう物語が呼び起こされた、とも言えるが)

本場の水の都のヴェニスと違い、木々が川面にせり出して生い茂る風景は見ているだけで美しい。そういう映像を残せただけでも価値があるのではないか。

この映画が取られた後に水路は泥やゴミの問題で一度再起不能になったらしいが、そのあたりの話は高畑勲の柳川掘割物語で撮られている。

ここまで魅力的な街なのに映画としてはこの二本くらいしかロケ地として使っていないのが不思議だ。

柳川にロケした重要な映画はもう1本ある。荒木経惟をモデルにした竹中直人の『東京日和』*2。舟の上に横たわる中山美穂
それから、高畑勲の『柳川掘割物語』は、三鷹ジブリ美術館に行ったときにDVDを買おうと思ったのだけど、数あるジブリの作品の中で、『柳川掘割物語』だけは売っていなかった。