花亀

今津健志「千葉県の外来種 ハナガメ」『生命のにぎわいとつながり』(千葉県生物多様性センター)77、p.4、2023


曰く、


ハナガメMaureys sinensis*1は中国南部、台湾、ベトナム北部に生息するイシガメ科イシガメ属のカメで、頭部から首の側面にかけて、黄色い線が複数あるのが特徴です。オスよりもメスのほうが大きくなり、メスは最大で甲長28cmまで成長します。腹側の甲羅には各甲板に丸い暗色の斑紋が入っていて、これが花のように見えることが名前の由来とされています。
ハナガメはペットとして人気があり、甲長3cn程度の子亀が安価で大量に販売されていました。しかし、在来種との餌資源や生息場所等の競合、交雑による遺伝子汚染を引き起こすおそれがあることなどから、平成28年外来生物法で特定外来生物に指定されました*2
県内では、これまでに都市部に近い公園の池や河川などで発見されていますが、野外で繁殖した例は報告されていません。しかし、近年ハナガメと日本固有種のニホンイシガメ*3、ハナガメとクサガメの交雑種が野外で複数確認されています(これらの交雑種も特定外来生物に指定されています)。確認された個体が野外で繁殖したものか、遺棄されたものかはわかっていませんが、交雑種も繁殖能力を持っている可能性があり、生態系への影響が懸念されています。
さて、「ペットとして人気があ」る一方で、中国大陸では野生で棲息する数が減少して、ワシントン条約附属書III*4に掲載されているのだった*5。