「中世」の終わり

本村凌二*1「佐藤猛百年戦争 中世ヨーロッパ最後の戦い』」『毎日新聞』2020年6月10日


藤猛百年戦争 中世ヨーロッパ最後の戦い』(中公新書)。
1337年から1453年まで続いた英仏間の「百年戦争」について。


(前略)英王家と仏王家はともにフランス北西部の同じ母胎に発祥し、そこに拠点があった。やがてドーヴァー海峡をはさんで別の国家に成長していく。兄弟姉妹が喧嘩と仲直りをくりかえす、ありふれた戦争だった。
そもそもイギリス人とフランス人が対峙する戦争でもなかったのに、いつの間にか、二つの王国の戦争になっていく。途中、黒死病(ペスト)の蔓延もあり、一筋縄ではいかなかった。本書は誰が百年を戦ったのかという戦争の当事者に焦点を当てている。それによって、ヨーロッパ中世が断ち切られ、近代に連なる国家で形成されたことを鮮明に浮きぼりにする。