太陽暦じゃ無理

承前*1

西行法師の有名な、


願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月の頃
も涅槃会に因んだ歌*2。「きさらぎの望月の頃」とは2月の満月の日、すなわち2月15日。久保田淳氏と吉野朋美氏は「陰暦二月一五日は釈迦入滅の日」と注している(『西行全歌集』岩波文庫、p.20)。これは「陰暦」だからこそ成立する光景。陰暦の2月15日は太陽暦に換算すれば3月中旬以降になるので、桜は咲き始めている。太陽暦の2月15日には河津桜はともかくとして、普通の桜はまず咲いていないだろう。寧ろ梅の盛り。

*1:https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2022/02/16/015702

*2:以前言及したとき、西行の「辞世」と書いてしまったが、これは誤り。https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170216/1487214164