Inspired by Hanada

復興期の精神 (講談社文芸文庫)

復興期の精神 (講談社文芸文庫)

「楕円の夢⋯」『サンガ』(東本願寺[真宗会館])168、pp.2-3、2020


寺尾紗穂さん*1へのインタヴュー。
花田清輝*2の「楕円幻想」(in 『復興期の精神』)にインスパイアされて;


それまでのキリスト教世界では、惑星は真円の軌道を描いているはずだという考え方でした。神様がつくった宇宙というものは半端な部分はなくて、みんなきれいな円でできているもの、美しいものだという考えです。でも、ケプラーがたくさんのデータをもとに惑星の軌道を割り出してみると、どうもそれは楕円であることがわかった。もちろん地球も、太陽の周りを楕円で回っている。一見、完全な円に見えるけれども、ちょっとはみ出すのが現実だったんです。なにかその幅、その余白のある感じが、実はとても大切なのでは思いました。(pp.2-3)
地の文(インタヴュアの文);

楕円とは不変ではなく、変化を暗示する形だと寺尾さんはいう。アルバム『楕円の夢』のマスタリングの日、イスラーム過激派組織(IS)によって、ジャーナリストの後藤健二さんが殺された*3。後藤さんを殺したのは偏狭で硬直した思想であり、それは楕円ではなく、運動を止めた円的だという(後略)(p.3)