
- 作者:佐伯 梅友
- 発売日: 1981/01/16
- メディア: 文庫
「和歌は、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける」で始まる(p.9)『古今集』「仮名序」*1を読みながら寝落ちしてしまった。
ところで、(和歌は)「久方の天にしては下照姫に始まり、(割註略)あらがねの地にしては、すさのをの命よりぞおこりける」とある(p.10)。「下照姫」って誰だっけ? と思った。割註に曰く、「あめわかひこの妻」。「下照姫」は大国主の娘とされる*2。大国主はスサノヲの息子。ちょっと順序が逆なのでは?
神代においては和歌の形式は定まっていなかった。歴史時代(「人の世」)になってから、31文字の短歌という形式が定まった。(「仮名序」によれば)下照姫は神代に、スサノヲは歴史時代に属すということになる。この順序のぐるぐる、さらに「久方の天」(高天原)と「あらがねの地」(「地上」*3)という空間的な対立とも相俟って、ちょっと頭が混乱中。
(前略)ちはやぶる神世には、歌の文字も定まらず、すなほにして、言の心わきがたかりけらし。人の世となりて、すさのをの命よりぞ、三十文字あまり一文字はよみける。(後略)(ibid.)
*1:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160102/1451724431
*2:See eg. 「下照比売命」https://genbu.net/saijin/sitateru.htm 「下照姫」https://yaoyoro.net/shimotaru.html