罪を分担すべき人は?

NHKの報道;


「お金がなかった」年末に出産の赤ちゃん放置 死亡 母親逮捕
2020年1月2日 22時42分


東京・足立区の住宅で年末に出産した赤ちゃんを放置して死亡させたとして、2日、31歳の母親が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは東京・足立区西新井のアルバイト、〇〇〇〇容疑者(31)です。

警視庁によりますと、〇〇容疑者は先月28日に自宅の浴室で出産した女の子を放置し、元日に死亡させたとして保護責任者遺棄致死の疑いが持たれています。

〇〇容疑者は1人暮らしで、女の子を出産したあとも2階の寝室に置き去りにして、ふだんどおりアルバイト先に出勤し、元日にみずから119番通報したということです。

また、赤ちゃんの父親については以前の交際相手ではないかという内容の説明をし、医療機関を受診していなかったということです。

調べに対し、「病院に行くお金がなく、周囲に相談できる人もいなかった」などと供述しているということで、警視庁が詳しいいきさつを調べています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200102/k10012234261000.html

引用するに当たって、原文を改竄し、容疑者の匿名化を行った。容疑者の実名を晒すということは、「過失」によって生まれたばかりの自分の子どもを死なせてしまって、悲嘆の淵にあるに違いない彼女の傷口に塩を塗り込むに等しいと考えるからだ。実名を公表した警察や、それに非反省的に迎合したメディアの罪は、この「保護責任者遺棄致死」の容疑者よりも重いと思う。妊娠とか出産という出来事は当事者のみならず周囲の神経までぴりぴりさせる。そのような妊娠や出産を直接的・間接的に経験した人は多い筈なのに、何故こうした人生の非常時を「病院に行くお金がなく、周囲に相談できる人もいな」いという孤独の裡に生きた容疑者のささくれだった実存への共感もない伝え方をするのだろうか。
「病院に行くお金がなく、周囲に相談できる人もいなかった」こと、また出産後も「 ふだんどおりアルバイト先に出勤し」なければならなかったこと。大雑把に言えば、〈不運〉であり、彼女の責任範囲の外である。彼女が刑事責任を担わなければいけないとして、重要な共犯者が隠蔽されているということを指摘しておかなければならない。妊娠とか出産という出来事は、母親だけでなく父親(精子提供者)が介在しなければ生起しない*1。何が言いたいのかといえば、父親(精子提供者)も刑事責任を分担すべきだということだ。妊娠し・出産する能力があるが故に女性が刑事責任を全部引き受けさせられてしまうというのはバランスが著しく欠如したことだろう。また、父親(精子提供者)が「放置」した期間は、容疑者の数日に対して、数か月である。
稲葉剛氏曰く、