「父親が過大な期待をしていた」

承前*1

東京都目黒区で5歳の女の子が親の虐待で死亡した事件を巡って。

Shino Tanaka「「パパ、ママいらん」でも「帰りたい」 亡くなった5歳児が、児相で語っていたこと」https://www.huffingtonpost.jp/2018/06/06/gyakutai-yua_a_23452097/


一家がまだ香川県善通寺市に住んでいた頃の話。


父親は、児相の聞き取りに対し「きちんとしつけないといけないから」と繰り返し説明していた。

県の職員は「5歳児に対して、父親が過大な期待をしていた。とにかく養育や作法について、強いこだわりが見えた」という。

細かなこだわりは、結愛ちゃんの言動からも推し量られた。結愛ちゃんは職員に対し「勉強しないと怒られるから」と伝えていた。

人に会うときは、しっかりおじぎをして、あいさつをしないといけない。

ひらがなの練習をしないといけない。

はみがきは自分でやり、怠ってはいけない。

太りすぎてはいけない。

また、雄大容疑者は体重に対しても異常に気にするそぶりがあり、優里容疑者に「子どもはモデル体型でないと許さない。おやつのお菓子は、市販のものはダメだ。手作りしろ。野菜中心の食事を作れ」と言っていたという。

また、一時保護を解除したときにした「祖父母の家に定期的に預ける」という約束も、「祖父母は子どもを甘やかす。歯磨きすら一人でできなくなる。だからもう行かせたくない」などと言い、だんだんと預けることがなくなったという。

もしかして、マジで「しつけ」だと思っていたのかも知れない。つまり悪意の不在。ただ、その一方で、自分たちのしていることが世間からは「虐待」と認定されるかも知れないということも意識していたことになる。
『読売新聞』の記事;

「勉強せずに寝ていたので暴行した」父親が供述
2018年6月9日 7時9分 読売新聞


 東京都目黒区で虐待を受けた船戸結愛ゆあちゃん(当時5歳)が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された父親の船戸雄大被告(33)が、結愛ちゃんの死亡直後の警視庁の調べに対し、「勉強をするように言ったのに、寝ていたので暴行した」と供述していたことが捜査関係者への取材でわかった。

 同庁が、虐待の実態を調べている。

 捜査関係者によると、船戸被告は結愛ちゃんが死亡した翌日の3月3日、結愛ちゃんの顔を殴るなどした傷害容疑で逮捕され、その後、起訴された。当時の調べに対し、「小学校の入学に向けた勉強をするように言ったら『はい』と答えた。それなのに、昼頃に部屋を確認したら寝ていたので頭にきた」などと供述していた。
http://news.livedoor.com/article/detail/14838101/

NHKの報道;

5歳女児死亡 免疫機能の「胸腺」萎縮 長期間の虐待ストレスか
2018年6月9日 6時03分


東京 目黒区で5歳の女の子に十分な食事を与えず死亡させたなどとして両親が逮捕された事件で、警視庁が女の子の遺体を調べたところ、免疫の機能に関わる臓器が通常の5分の1程度に縮んでいたことがわかりました。この臓器の萎縮は、繰り返し虐待を受けた子どもにみられる特徴だということで、警視庁は女の子が長期間の虐待によるストレスにさらされていたとみて調べています。

ことし3月、東京・目黒区の船戸結愛ちゃん(当時5)が死亡し、警視庁は、父親の船戸雄大容疑者(33)と母親の優里容疑者(25)が十分な食事を与えなかったうえ病院にも連れて行かずに死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕しました。これまでの調べで、結愛ちゃんの食事は1食につきスープ1杯か、おわんに半分のご飯とみそ汁などしか与えられていなかったということです。

警視庁が遺体を詳しく調べたところ、免疫の機能に関わる「胸腺」という臓器が同年代の子どもの5分の1程度に縮んでいたことが捜査関係者への取材でわかりました。

この臓器の萎縮は繰り返し虐待を受けた子どもに多くみられる特徴だということです。

警視庁は結愛ちゃんが長期間、栄養が足りない状態で虐待によるストレスにさらされていたとみて調べています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180609/k10011469971000.html

See also


「死亡の5歳女児 電灯もない1人の部屋で「ゆるして」つづる」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180608/k10011469321000.html