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Via http://kj-books-and-music.hatenablog.com/entry/2019/09/07/090840

東京創元社「裁判小説の名作が、創元推理文庫で新たに甦る! 大岡昇平『事件』」http://www.webmysteries.jp/topic/1711-03.html


大岡昇平の『事件』*1は2017年に「創元推理文庫」に収録された。このエディションはほかとは違うのだという。因みに、私は新潮文庫版で読んだ。


大岡昇平『事件』を創元推理文庫で刊行するにあたって、過去の文庫版と違う点が幾つかあります。
最大の違いは底本です。『事件』という作品は、これまで著者の生前に四度書籍化されています(1977年新潮社、78年新潮社〈新潮現代文学〉、80年新潮文庫、83年岩波書店大岡昇平集〉)が、その度ごとに著者自身の手で改稿がなされているのです。
物語の大筋に異同はありませんが、改稿といっても単純な誤字の訂正に留まりません。例えば、終盤の裁判官たちの合議においては、未決勾留日数の算入に関して、新潮文庫版と岩波書店大岡昇平集〉版で正反対の発言に書き換わっているほか、改稿の度に裁判事や弁護士に相談、指摘を受けて、誤りのないよう手が入れてあります。
今回の創元推理文庫版は、著者の生前最後の版であり、「もはやこれを決定版にして、今後手を入れることはない」と自ら書いている岩波書店大岡昇平集〉版を底本にしました。更に、没後刊行された筑摩書房版〈大岡昇平全集〉にも収められている著者の訂正覚書の箇所も改めた、文庫決定版となります。
事件 (新潮文庫)

事件 (新潮文庫)