http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101107/1289106057に対して、
他の方のご指摘にあったように、「濱田」ではなく「濱口」だということはあるのだが、これは重要な指摘。昨今リバタリアニズムを巡る議論は哲学的討論ではなくアジり合いになっているんじゃないかということもあるのだが、反リバタリアンな人たちは「選択肢」の最大化ということについて答えるべきだろうし、リバタリアンに対してはリバタリアニズムによって「選択肢」の最大化が可能になるのかどうかというところに突っ込みを入れるべきだろう。そうすれば、論争はより生産的になるのでは?
山形 2010/11/08 14:39
例によって浜田は自分が気の利いた嫌味を言っているつもりでピントはずれなんですが、本当にリバタリアン的に考えるなら、その子供に最大限の選択肢を与えることでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101107/1289106057#c1289194783
さて、http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-45fb.htmlに関連したhttp://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-2b5c.html;
ここでもお歴々の論の妥当性は問わない*1。
松尾輶佑さんが、http://twitter.com/ryusukematsuo/status/23919131166
>「警察を民営化したらやくざ」との言にはミスリードな部分があって,それは無政府資本主義社会における「やくざ」を政府が存在・機能している社会における「やくざ」とは一緒にできない点.民営化はやくざの「全面的合法化」ではなく,そもそも合法性を独占的に担保する暴力機構の解体を意味する.
http://twitter.com/ryusukematsuo/status/23919469693
>他方,民間保護機関や警備会社同士なら「やくざ」ではないから金銭交渉などで何でも平和的に解決できるかと言えば,そういうわけでもなかろう.やくざだって経済合理性に無縁でなく,無駄な争いはすまい.行為を駆動する合理性の中身は多少違っても,本質的に違いがあるわけではない.やくざはやくざ.
言わずもがなではありますが、それは「やくざ」の定義次第。
疑問に思ったのは、議論の流れ上仕方ないのかも知れないが、どなたも「警察を民営化したらやくざ」という定式を自明視して、それを肯定するのか否定するのかということに終始して、他の選択肢の可能性が無視されているのではないかということ*2。これは人々が「警察」の本質を何処に見出しているのかということで面白いといえば面白いのだが。
言いたいのは、「民営」の「警察」といえば私立探偵があるじゃないかということだ。しかも、私立探偵は現実に存在している。例えば、米国などでは官営警察並みの捜査権が賦与されていて、刑事裁判では弁護人の依頼で被告に有利な証拠を収集するということを行っているのではなかったか。そのような私立探偵が存在しない日本では弁護士が忙しい業務の合間を縫って探偵の真似事をしなければならない(例えば、大岡昇平『事件』)。民営の警察としての私立探偵に強い捜査権を与えることは、刑事事案(裁判)における容疑者(被告)と警察や検察の情報収集(証拠収集)能力における非対称性を少しでも緩和することになるだろう。これは日々〈検察ファシズム〉と果敢に闘われている(らしい)巷の〈小沢信者〉の方々のご賛同もいただけると思う。ただ、そうはいっても国家はまた別の意味でその存在感を示すことになるだろう。ライセンス賦与或いは認証機関として*3。勿論、市場における競争の結果としてDQNな探偵は淘汰され名探偵だけが生き残るという議論もあるだろう。しかし一般人にとっては、ミステリー・オタクでない限り(であっても)、探偵の品質の良し悪しを見分けることは至難の技である。だから、信頼できるライセンス賦与或いは認証制度の構築が不可欠となる。
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因みに、タイトルはホール&オーツ*5から。
Interpreting the Masters 1: Tribute to Hall & Oate
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*1:「「やくざ」の定義」を巡っては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070623/1182592802で無駄口を叩いた憶えあり
*2:See also http://b.hatena.ne.jp/entry/eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-143d.html
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101025/1287988331
*4:JFK Miller “The Return of Qiu Xiaolong” that’s Shanghai October 2010, p.74
*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100929/1285728968 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101001/1285914468