「平均38%減」

NHKの報道;


お遍路さん減少 10年で平均38%減
2019年6月21日 11時37分


四国にある八十八か所の霊場を対象に行ったアンケートで、回答したすべての寺では、この10年で巡礼者が減り、減少割合は平均で38%に上ったことが四国経済連合会などの調査で分かりました。

四国経済連合会などは四国遍路*1世界遺産登録を見据えて、遍路の受け入れ態勢を調査し、その結果を報告書にまとめて、このほど公表しました。

それによりますと、去年11月、四国八十八か所霊場を対象に実施したアンケート調査で、回答のあった36の寺すべてが、10年前と比べて巡礼者が減っていると答え、減少割合は平均で38%、最高で70%だったということです。

アンケートではマイカーを利用する個人やバスで訪れる団体の巡礼者が「減っている」と回答した寺が、9割から7割を占めた一方で、外国人の巡礼者が「増えた」とした寺が9割以上だったということです。

報告書では年間1万人以上のペースで巡礼者が増えている、スペインのサンティアゴ巡礼路にあるような格安の宿泊施設を整備して、歩いて巡礼する外国人を増やし、遍路文化の維持、継承につなげるべきだと提言しています。

四国経済連合会などは報告書を行政や関係団体などに郵送し、政策の立案に役立ててもらうことにしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190621/k10011963241000.html

菅直人清原和博もこの〈衰退の10年間〉に四国遍路を実践したわけだ。「巡礼者が減っている」という基準は何なのかというのも気になるのだけれど、10年間で「平均」「38%」、「最高で70%」というのに吃驚。これが本当だったら、四国遍路存亡の危機でしょう。もっと長いタイム・スパンで、長期的な減少傾向があるというなら、わかる。この10年の間、311はあったものの、日本が戦争に巻き込まれたわけでもない。大恐慌というべき経済的な危機があったわけでもない。革命的(反革命的)社会変動が起こって、日本がスターリン主義独裁国家或いはファシスト独裁国家になってしまったわけでもない。思いつくのは、民主党の退場と安倍晋三政権の復活くらいなのだ。
或いは、或る種の宗教的覚醒が起こっていると読むべきなのかも知れない。「マイカー」や「バス」を使う邪道の巡礼は廃れているけれど、只管歩くというオーセンティックな巡礼者の数はそれほど変化していないとか。
「歩いて巡礼する外国人を増やし、遍路文化の維持、継承につなげる」というのもなかなか大変なことだ。「四国遍路」を「四国遍路」たらしめている独自性、真言密教コスモロジー弘法大師空海のバイオグラフィ、四国というトポスの重なり合いを多言語で提示していかなければならないし、独自性を呈示すると同時に、異教徒(基督教徒やムスリム無神論者)でも納得可能な個別宗教超越的な〈スピリチュアリティ〉も提示していかなければならない。