或る「抗議」

石丸次郎*1朝鮮総連NHKに抗議 北朝鮮帰国事業の番組は「虚偽とねつ造宣伝」」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190604-00010002-asiap-kr


朝鮮総聯Eテレの「北朝鮮帰国事業 60年後の証言」*2という番組に関して、NHKに「抗議」したという。


朝鮮総連の代表者が、5月28日に東京のNHK本局を訪れ、在日朝鮮人の帰国事業*3を扱った番組を「虚偽とねつ造宣伝だ」と抗議していたことが分かった。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」が5月31日付のウェブ版(朝鮮語)で報じた*4

番組は韓国と日本に住む脱北した元帰国者のインタビューなどをまとめたもので、帰国事業を進めた当時の金日成政権と朝鮮総連による虚偽の宣伝に騙されたと、元帰国者や日本人妻が証言。朝鮮新報はこれを「虚偽とねつ造宣伝」だとしているが、具体的な指摘はなかった。
朝鮮語」だけということで、基本的には平壌向けのポーズということだろう。日本の極右による嫌韓言説が基本的に日本語オンリーであるのはそうした言説が基本的には日本人(日本語話者)内部で盛り上がることを目的にしているというのと同じ。それだけでなく、「証言」を論証もなく「ねつ造」とか「虚偽」と決めつけて、証言者の人格まで否定するという手口は、(例えば)〈従軍慰安婦〉を否定する日本の極右や歴史修正主義者の手口と同じだと言えよう。
さて、この番組を偶々視ていたのだけど、凄く興味深かった。文化の問題。「帰国」した在日朝鮮人が直面した様々なトラブルは、北朝鮮側の虚偽宣伝ということを脇に置いてみると、主観的にも客観的にも、何よりも先ず文化摩擦が関わっていた。考えてみれば当たり前なのだが、在日朝鮮人は日本人や(北朝鮮の)朝鮮人が思っていた以上に、或いは本人たちが思っていた以上に、〈日本人〉だったわけだ。