犯人になりかけた人たち

承前*1

TABLO編集部「絶対に報じられない新潟女児殺害事件現場 マスコミが犯人と決めつけた男」http://tablo.jp/case/news003306.html


5月に新潟市で起こった小学2年生女子殺人事件を巡って。


事件発生4日後になると、現場に「迷宮入り」の一文字が浮かんできたといいます。相変わらずドライブレコーダーを集めている警察に痺れを切らし、報道陣は独自で地元の不審者の割り出しに動いていたのです。その結果、3人の不審者情報が浮上してきたといいますが――。

「1人は地元では有名なアル中のおっさん。『あいつならヤリかねん』ということで、NHKを含む複数の社が事前におっさんの『絵取り』と一問一答を済ませていました。要するに、逮捕されたときのための素材作りですよね。2人目は、地元のひきこもり男性。自宅には取材が殺到し、結局、親御さんがブチ切れて、報道陣の写真を逆に撮りまくっていましたね」(同前)*2

 3人目に浮上したのは、地元の地銀に勤める20代のA氏。実は、14日早朝、フジテレビなどが「重要参考人の聴取始まる」と第一報を打った際、各社は人定(当該人物の名前を特定すること)ができていなかったのです。

「その日、多くのマスコミは『重要参考人』をこの3人目のA氏と勘違いしていました。さらにテレビ局がA氏の自宅を指差し『こちらに住む20代の男が事情聴取を受けている模様です』というレポートまで始める始末。しかし、(勤務先の)地銀が否定のFAXを各社に流したことでA氏ではないことが分かった。いま考えれば、とんだ人権侵害でしょう」(同前)

 結局、夕方前になり「男に逮捕状請求」という報道が流れ、容疑者はノーマークだった近所に住む小林遼容疑者(23)だったことが発覚。続々と自宅前にはマスコミが集まり始めたのです。まさにマスコミにとっても急転直下の逮捕劇だったといいます。

ここに挙がった3人にとってはとんだ災難ということになる。また、「報道陣」による「独自」の「割り出し」は全て的外れ。さらに、本星も「ノーマーク」。これは最近流行りの言葉で言えば、「低能」ということになるだろうか。或いは、プロの捜査機関としての警察をなめてはいけないということだろうか。
そもそも「アル中のおっさん」に殺人が可能だったのだろうか。殺そうとした途端、泥酔して、ゲロを吐いて、寝転んでしまうのがオチなのでは? LSDによる錯乱とか覚醒剤中毒のフラッシュ・バックとかはあるのだけど、一般的に言って、薬物中毒者が犯罪に結びつくのは、クスリを買う金を手に入れるために犯罪に手を染めるということだろう。この「アル中のおっさん」が酒代に困っていたのかどうかはわからないけれど、そもそもこの事件は営利型の犯罪ではない。また、かなり早い段階で犯人が自動車を使った可能性が高いことはわかっていた筈だけど、「アル中のおっさん」が自動車を使うことは困難だろうし、「ひきこもり男性」も車を持っていなかったんじゃないの? 銀行の兄ちゃんが疑われた理由については言及されていないのだけど、とにかく有徴の、脛に傷というよりも痣を持つ人間を焙り出して、締め上げて、適当に吐かせる。こういうことを警察がやれば冤罪の完成ということになる。そういうことを今回マスコミがやったということだ。
ところで、ここ数日、この「反権力ニュースサイト」を謳う『TABLO』*3にけっこうはまって、過去の記事を何本も何本も読むというけっこう不毛な時間を過ごしている。