戦争と煙草

石田雅彦*1「そんなに「害」があるのに「タバコ禁止」されない理由」https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20180628-00087265/


曰く、


タバコが国策に利用されたのは日本では日清日露戦争の前後からだ。明治政府はタバコ税を確実に収税して戦費の足しにしようと考え、タバコを専売制にする。

 タバコと戦争は切っても切れない関係にある。例えば、1894(明治27)〜1895(明治28)年の日清戦争ではタバコ(主に紙巻き)が出征兵士への慰問品になり、日露戦争開戦前年の1903(明治36)年と開戦した1904(明治37)年の総税額中に占めるたばこ税の割合は、8.5%から11.5%に増えた。その後、15年戦争が始まる頃まで、この割合は12〜18%前後で推移する(※1)。

 同じような例は帝国主義時代の欧米列強にみられ、戦地の兵士にタバコは格安か無料で配給された。戦地で喫煙を覚えた兵士は、市民社会へ帰ってきてからもタバコを止められず、タバコ煙と受動喫煙の害を振りまきながら周囲にタバコを勧めるようになる。

政府が「タバコ税」に目を付けたというのは、そのとき既に煙草がポピュラーな娯楽(嗜好品)として定着していたからだろう。因みに、酒税という制度の起源も日清戦争にある筈。それ以来、国家にとって酒は「文化」ではなく「搾取のネタ」になったわけだ*2
それはともかくとして、どの国でも陸軍は煙草のポイ捨ては許さなかったのではないかと思う。敵地でポイ捨てすると、吸い殻から足がついてしまう。タヴィアーニ兄弟の『サン★ロレンツォの夜』で、村人がキャメルの吸殻を見つけて、米軍が既に近くまで来ていると気づくシーンがあった筈。