寺島実仁訳

かつて梁文道氏はハイデガーの『存在と時間』の英訳は2種類しかないのに日本語訳は5種類もあると吃驚していた(「中大変英大――《令大学頭痛的中文》」『読者』*1、p.249)*2。私が読んだのは岩波文庫の桑木務訳だが、木田元先生の「ハイデガーを読む」 ( 『木田元の最終講義 反哲学としての哲学』*3、pp.9-61)によると、既に昭和14年(1939年)に寺島実仁という人の『存在と時間』訳本が刊行されている(p.22)。どうやら最初の訳本らしい。今まで知らなかった。勿論、寺島実仁という人についても知らなかったのだが、ちょこっとネット検索してわかったことは、「実仁」はサネヒトではなくジツジンと念むらしいこと*4。マックス・シェーラーの『哲学的世界観』の翻訳もしていること*5。「財団法人日独文化協会」の会員であったこと*6

存在と時間 下 (岩波文庫 青 651-3)

存在と時間 下 (岩波文庫 青 651-3)