「産後」の言葉

伊是名夏子*1「身長100cmの私は流産をした。今はその経験を誇りに思う。」http://www.huffingtonpost.jp/izena-natsuko/100-pride_a_23368918/


曰く、


私がまわりに流産の話をすると「また次があるよ」「大学院に通うならかえってよかったんじゃない」と励まされることがありました。それが正直、つらかったです。私は無理に明るくふるまって「大丈夫だよ」「次があるしね」と言うしかありませんでした。だってそうでもしないと、励ましの会話は終わらないんだもの。どっと疲れました。

また「無理をしていたんじゃない」「飛行機に乗ったからじゃない」「体が冷えたんじゃない」

と、アドバイスのように聞こえるけれども、私に非があったように言われたことも疲れました。11週までの流産は、母体の問題ではほとんどないのに。悲しい気持ち、つらい気持ちを聞いてもらうどころではありませんでした。

そしてさらには「流産の手術が、今後の妊娠に影響がないといいね」と誤ったことも言われました。流産がその後の妊娠に影響してくることはほとんどありません。特に3回目までは。誤った情報で傷つく人は多いでしょう。流産の正しい情報は広まりにくく、思い込みや、偏見が多いと感じました。その理由の一つは、女性は流産しても、それを語る人がほとんどいないからでしょう。


初期流産になり、妊娠の実感がほとんどなく、心にぽっかり穴があいたよう。

無力感になり、ただただ悲しかったです。

でも、もう赤ちゃんはいないのだから前を向くしかない、と、何もなかったように毎日を過ごしていました。すると流産の半年後、急に体がだるく、重くなり、起きあがるのもつらくなる日がきました。理由を考えてみると、ちっちゃな疲れがずっと、妊娠流産の時から続いていると気づいたのです。休むって、本当に難しい。特に流産のような、何も形としては残らず、失敗体験のような時には。

でもそんな時、友だちからの一言に救われました。

「流産をした体は、産後と同じ状態なんだよ。だからゆっくり休んでね。」

赤ちゃんは成長せず、手術もし、何も残らなかった、何もできなかった、と思っていました。

でも、本当は流産も出産と同じこと。

流産も偉大なことなのです。

流産を終えた自分を誇りに思い、大事にしようと思いました。

体をなるべくあたためて、休むように心掛けました。

流産(中絶)をした女性の方へ。

いまは泣けないかもしれないし、誰にも話したくないかもしれません。 

でもあなたがやり遂げたことは、女性がしかできない、偉大なことなのです。

流産も、出産と同じなのです。

どうか自分を労わって、おいしいものを食べて、休んでくださいね。

ケイト・ブッシュの曲名を借りれば、This Woman's Workということになる。
けっこう身近な人が「流産」したということがあるけれど、「流産」した人にどんな言葉をかけるのかはとても難しい。
The Sensual World

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Director's Cut

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