8月に書いたエントリーから;
今頃になって、基本的な勘違いをしていたことに気づいた。最近ではわからないけれど、少なくとも以前は、神経症(ノイローゼ)と精神病(プシコーゼ)の区別は病識の有無にありと言われていた。とすれば、そもそも「「集団ストーカー」によって「電磁波攻撃」を被っていると訴える人」が自発的に「精神科のクリニック」の門を潜るということは考えにくいのだった。
朝日探偵調査事務所「電磁波攻撃 電磁波被害 思考盗聴 嫌がらせ−調査と対策」http://www.asahishinyo.jp/article/d1913.html
「集団ストーカー」によって「電磁波攻撃」を被っていると訴える人はいる。例えば、淡路島洲本虐殺事件の平野達彦とか。或いは、自分の考えていることが他人に筒抜けになっていると訴える人。「思考盗聴」というのだそうだ。こういう人を救うのは精神科のクリニックだろうと思うのだけど、不倫なんかの調査も行っている普通の探偵事務所。文学的に言えば、ジャンルの混乱。推理小説なのかサイコ・ホラーなのか。それぞれジャンルの掟は全く違うというのに。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170815/1502814821
さて、
片岡健*1「統合失調症の患者がカモにされる現状に憤り…探偵会社が医療機関につなぐ新たな試み」https://www.bengo4.com/other/n_6761/
「統合失調症を患った人を医療機関に」紹介している「総合探偵社フォーチュン広島」の重川亮社長へのインタヴュー。
――探偵会社というと、一般的には浮気調査が主な仕事というイメージなので、依頼者の中に統合失調症を患った人が多いということを意外に感じる人も少なくないと思います。
統合失調症の人は自分が病気だとわからず、病院ではなく警察や弁護士、防犯会社、探偵会社などに相談に行くことが多いのです。主な相談内容には、「盗聴されている」「電磁波攻撃を受けている」「集団ストーカーの被害に遭っている」などがあります。
変わったところでは、額にテープのようなものを張り、「これがないと思考を盗聴されるのです」と言っていた人や、「服のサイズをすべて変えられました」「冷蔵庫のチーズが毎日1つずつ無くなるのです」と訴えてきた人がいました。僕も最初はそれが病気とわかりませんでしたが、メンタルクリニックの先生に「それは統合失調症です」と教えてもらったのです。*2
――そこで、統合失調症の人たちを医療機関につなげる活動を始めたわけですか。
いえ、以前はそういう人たちの調査依頼は体よく断っていたのです。というのも、「盗聴されている」という人の家を実際に調べ、「何も出てきませんでした」と結果を伝えても、「いや、盗聴器は絶対ある」と言い張り、調査料金を払ってくれなかったりするのです。僕らを家に呼んでおきながら、「お前も手下だろ」と包丁を振り回す人もいましたからね。
――では、何が活動を始める転機になったのでしょうか。
当社が調査を断った人がその後、別の探偵会社に相談に行き、何十万円、何百万円という法外な料金を支払ったという話がちょくちょく耳に入ってきたことです。統合失調症の人の中にもお金がある人はいます。そういう人は探偵会社から「盗聴器探しなら50万円かかります」と言われても、「盗聴の苦しみから逃れられるなら安い」と思ってしまうのです。
そういう探偵会社は実際に調査をして盗聴器が出てこなくても、「盗聴器ではなく、レーザーで盗聴されていたようですね」などと色々な言い訳をしてお金を支払わせます。僕はそういう話を聞くたびに腹が立ち、「そういう会社に大金を払わせるなら、統合失調症の人を医療機関につなげたい」と思うようになったのです。
――重川さんの活動は同業者にどのように思われているのでしょうか。
同業者には、僕がやっていることを疎ましく思っている人が多いです。精神疾患のある人をカモにして成り立っている探偵会社は多く、業界の表沙汰にされたくない部分だからです。
また、僕らが盗聴器の捜索などのために依頼者の家に行くと、家の中のすべての部屋に防犯カメラを設置している人や、リフォーム業者に「壁を張り替えれば、電磁波の攻撃を防げます」と提案されてその通りにしている人などもいました。探偵会社以外でも精神疾患の人をカモにしている業種は多いのだと実感しています。
――そういう問題はほとんど知られていませんね。
その理由の1つは、カモにされる人たちが納得してお金を払っていることです。盗聴器の捜索は1軒3〜5万円が業界の平均的な料金で、当社の場合も基本料金が2万円、プラス1部屋1万円という設定です。ただ、盗聴器の捜索に決まった値段があるわけではないので、50万円でも100万円でも支払う本人が「それでいい」と思えば、被害者は存在しないわけです。
また、メディアも統合失調症のことは扱いたがらないのです。たとえば以前、東京から新聞記者が取材に来て、当社の依頼者だった統合失調症の女の子と一緒に1日取材を受けたり、また別の新聞記者と一緒に精神医療の施設を色々回ったりしましたが、いずれも記事になりませんでした。現場の人が熱心でも「上の判断」でストップが入るのです。
*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170417/1492396142
*2:重川氏の発言は太字化した。