場違いの力

田中ひかる「生理をめぐるニセ科学 世界中で信じられていた「月経毒素説」」http://wezz-y.com/archives/50363


世界中に存在する女性の「月経」に対するタブーの数々。また、その前提としての「月経」の不思議な力。近代に入ると、古来よりの迷信には科学的な装いが凝らさせ、独逸と米国で「月経」の血に含まれる「毒素」まで「発見」された。
ところで、「月経」に対するタブーを考えるには、血、特に体外に漏れる血に対するタブー、或いはそうした血の力に関する信仰を考えなければならないだろう。例えば、性別に関係なく生起する痔の問題。さらに形式的に考えると、〈場違い(displacement)の力〉ということを考えてみるべきだろう。モノたちはそのプロパーな場所(エレメント)から切り離されたときに通常では考えられないような力、(多くの場合)ネガティヴな力を発生させうると観念される。例えば、口の中に留まっている唾液を汚いとは誰も思わない。汚いと思われるのは口から飛び出した唾液である。血の場合でも、穢れと観念されるのは、体内を循環している血液ではなく、出血、体外に漏れる血だろう。
エドマンド・リーチの『文化とコミュニケーション』*1を取り敢えずマークしておく。

文化とコミュニケーション―構造人類学入門 (文化人類学叢書)

文化とコミュニケーション―構造人類学入門 (文化人類学叢書)

さて、

佐藤まきこ「20代でも閉経する?生理にまつわる都市伝説のウソ・ホント」https://joshi-spa.jp/760622


「生理」に関する諸説の真偽を産婦人科医の松村圭子さんが答えるという企画。
その中で、


Q4. 初潮が遅いと妊娠しづらい?


A. これはホント。デンマークで73,107名の女性について、1年以上妊娠しない“不妊”になる人の数と初潮年齢を調べた調査があります。初潮が13歳の人と16歳以上の人で比較すると、16歳以上の人は、13歳の人に比べて不妊になる人の数が1.18倍多いという結果が出ているんです。

 初潮が早い、遅いといった差は遺伝や体格など、さまざまな要因が関連していると考えられていますが、初潮が遅いということは卵巣の機能になんらかの問題があって、それが妊娠しづらいという結果につながっているのかもしれません。

そうなんだ! 思ったのは、現代では先進国を中心に「初潮年齢」は早くなる傾向があるけれど、現代社会では、「初潮年齢」(の平均)が遅かった昔と比べて「不妊」になる女性の割合は低くなっているのだろうかということ。