「縁切榎」

平塚太陽「名前晒し「2人の縁が切れ、私と結ばれますように」縁切り神社の絵馬に見た怨念」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170520-00006090-bengocom-soci



これも所謂〈パワースポット〉*1であろう。東京の板橋本町にある「縁切榎」。「心機一転やり直しに来たはずが、気づけば沈鬱な面持ちで帰途に着いていた」というけれど、人を「沈鬱」にさせるのは「縁切榎」よりも寧ろお前の存在だろうということは早く気付いた方がいいよ<平塚太陽
さて、このテクストを読むと、男女の「縁切り」に限定されているように誤解されかねないけれど、実際、ここで切るべき「縁」というのは男女間に止まらず、あらゆる「悪縁」である。病気でも貧乏でも依存症や悪習慣でも。


「東京板橋の「縁切榎」 全国の女性が絵馬に怨念刻むため参拝」http://www.news-postseven.com/archives/20151224_373121.html


この『女性セブン』の記事で言及されている「全国の女性」は別に恋敵とか夫の不倫相手を呪うために「参拝」しているわけではない。ここでのターゲットは「姑」。


寄金佳一「【パワースポット】人間関係、病気、酒…"悪縁"を絶ち切り"良縁"を結ぶ板橋の「縁切榎」」http://ure.pia.co.jp/articles/-/13067
西光三「縁切霊木譚―中山道板橋宿縁切榎について―」http://www13.plala.or.jp/t-ikoma/page026.html


歴史についての言及。花嫁行列はその前を避けて通った。将軍徳川家茂への降嫁のために中仙道経由で江戸へ来た皇女和宮のためには迂回路がつくられたとか。また、そもそも「縁切り」の御利益があるとされたのはこの榎の「樹皮」。樹皮を剥いで煎じて飲む。今でも樹皮を剥いで持っていく人がいるらしい。ただ、具体的にどういう経緯で「縁切り」のための「霊木」になったのか、何故「榎」なのかということはわからない。
ところで、多くの記事で「神社」とされているのだが、何ちゃら神社という正式名称や祭神名を記しているソースは殆どない。例外は神社専門の『神社人』というサイトで、それによると、正式には「榎木稲荷神社」であるそうな*2。但し、祭神については「推定」である。とにかく、この榎が古木・大木であることが重要なのだろう。大木は「悪縁」や「良縁」に左右される人間の世俗的時間とは異なったスケールの時間に属している*3