「オオヤマネコ」もいた

朝日新聞』の記事;


名古屋・東山動植物園のニシキヘビ不明 死んだ可能性も

2017年1月12日11時47分


 名古屋市千種区東山動植物園は12日、園内の「自然動物館」で飼育していたカーペットニシキヘビ1匹(体長約50センチ)が1日から行方不明になっていると発表した。園は寒さで死んだ可能性があるとみている。

 園によると、行方不明になったのは子どもの個体。28〜32度の温暖な気候を好むヘビで、23度の飼育箱で育てられていた。1日昼ごろ、担当者が飼育箱からいなくなっていることに気づき、職員約30人で捜したが見つからなかった。館外に出た可能性は低いという。

 カーペットニシキヘビはオーストラリアなどの森林や草原に生息。成体になると体長は2〜2・8メートルになるという。毒はなく、人に危害を与える特定動物には指定されていない。

 園は昨年末に鳥インフルエンザが発生した影響で動物園エリアを約1カ月にわたって休園していたが、13日に営業を再開する。園は、行方不明のヘビを発見できる可能性があるとして捜索を続けてきたが、開園が近づいたため発表することにしたという。
http://www.asahi.com/articles/ASK1D3D0MK1DOIPE008.html

「ニシキヘビ」については何度か取り上げているのだった。ニシキヘビを無許可で飼育していた東京都江戸川区の男の話*1。新幹線に乗り込んだシマヘビがニシキヘビと誤認された話*2
また『朝日新聞』の記事;

国内最高齢のツシマヤマネコ死ぬ 福岡市動物園

2017年1月13日23時21分

 福岡市動物園は13日、メスのツシマヤマネコ「ふみ」(推定20歳)が11日に死んだと発表した。飼育されたツシマヤマネコでは国内最高齢だった。岐阜大学で死因を調べる。

 ふみは2歳ごろの1999年に長崎県対馬市で捕獲され、同園に移された。計11匹を出産した。これまでの飼育での国内最高齢は18歳だった。平均寿命は15歳前後だという。

 同園で飼育するツシマヤマネコは7匹になった。対馬にいる野生のツシマヤマネコは約100匹とされる。
http://www.asahi.com/articles/ASK1F54G9K1FTIPE01J.html

「福岡動物園」のツシマヤマネコについてはhttp://zoo.city.fukuoka.lg.jp/animals/detail/27を。
ツシマヤマネコの「平均寿命は15歳前後」とされているが、これは最近かなり飛躍的にツシマヤマネコの寿命が延びたということだろうか。4年前、2013年の朝日の認識では、ツシマヤマネコが15年も生きれば超長生きということだったのだが、それが今では「平均寿命」になっている。
2013年10月の『朝日新聞』の記事を再度引用する;

ツシマヤマネコ15年間飼育 対馬の男性、国が厳重注意


 【井口恵理】絶滅が心配される国の天然記念物ツシマヤマネコを、長崎県対馬市の男性が15年ほど自宅で飼っていた。環境省が24日発表した。種の保存法(捕獲等の禁止)に触れる行為だが、同省は悪質性が低いとして厳重注意にとどめた。ツシマヤマネコの平均寿命は10年程度とされ、同省は今後の飼育の参考に男性から詳しく話を聞くという。

 同省九州地方環境事務所熊本市)によると、対馬市の男性から18日、「飼育しているツシマヤマネコの具合が悪くなったので治療してほしい」と、対馬野生生物保護センターに電話があった。男性宅を訪ねた職員が衰弱したツシマヤマネコを見つけ、センターで治療したが、約9時間後に死んだ。15〜16歳とみられるメスで、死因は老衰の可能性が高い。

 男性は15年ほど前に対馬市の路上でけがをした子どものツシマヤマネコを保護。福岡県の動物病院で治療した後、自宅で飼っていたという。

 事務所によると、これまでツシマヤマネコが15年以上飼育されたのは2例しか確認されていない。
http://www.asahi.com/national/update/1024/SEB201310240055.html (Cited in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131026/1382718482

本来はここで終わるつもりだったのだけど。
さて、Wikipediaを見ていたら、対馬にいるのは「ツシマヤマネコ」だけじゃないらしい;

なお、地元民にはツシマヤマネコの他に、山に棲息する「オオヤマネコ」が認知され、これらのうち ツシマヤマネコを(略)「虎毛」と呼んで区別していたとされる。1972年にも研究者による目撃があるとされる。こちらは頭胴長が約1.2mと既知のヤマネコよりも大型で、毛皮には模様がなくて全身が黄土色の毛で覆われているという。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B3
勿論ここでいう「オオヤマネコ」というのは対馬における民俗分類であって、生物学上のテクニカル・タームとしての「オオヤマネコ」*3とは違う。「オオヤマネコ」というのは特に北米大陸の諸神話で重要な役割を果たすようなのだ が、生物としてのその実態はいまいちぴんと来なかった。日本人では、「ヤマネコ」と「オオヤマネコ」ってどう違うの? サイズがちょっと大きいということ? と思う人が少なくないのでは? 「オオヤマネコ」の方がただの「ヤマネコ」よりも大きいというのは本当なのだが、日本語での表現がサイズの違いだけを強調するのに対して、英語などではwildcatとlynxというように、一目で別種だとわかるように表現されている·*4。話を混ぜっ返すようで恐縮だけど、「ツシマヤマネコ」はwildcatではない。「ツシマヤマネコ」は「ベンガルヤマネコ」の亜種である「アムールヤマネコ」の変種であるとされるが、「バンガルヤマネコ」の英名はleopard cat、つまり豹猫なのだった*5。「イリオモテヤマネコ」も「ベンガルヤマネコ」の亜種であるが、「ツシマ」とは関係ない。また、鼠取りのための家畜/ペットとしての猫はwildcatの亜種なので、「ツシマヤマネコ」や「イリオモテヤマネコ」と直接の関係はないことになる*6