百姓一騎、梶原一揆

梶原一騎伝 (新潮文庫)

梶原一騎伝 (新潮文庫)

斎藤貴男『『あしたのジョー』と梶原一騎の奇跡』(朝日文庫)を「再読」した」http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20161229/1482998472


斎藤貴男の『梶原一騎伝』*1が(改題されて)朝日文庫から出たという。私は新潮文庫版で読んだけれど、文春文庫からも出てなかったか。
さて曰く、


以前にも何度か書いたが、私は著者の斎藤貴男との相性があまり良くない。それは、もしかしたら斎藤氏が今でも梶原一騎にはまり続けているような心性の持ち主だからかも知れない。私は小学生の頃こそなんとかの星を読んだが、中学生になって手塚治虫の『火の鳥』を読んだのをきっかけに手塚派に完全転向し、以後梶原一騎をバカにするようになった(ちなみに手塚治虫は『××の星』のどこが面白いのか全く理解できなかったという)。世間の人々というか子どもたちの間でも、漫画の読者の梶原一騎離れは70年代後半以降急速に進んだように記憶するから、同様の人は同世代に結構いるのではないかと思う。しかし、それにもかかわらずこの本は文句なく面白い。斎藤貴男氏本人には不本意かもしれないが、私は本書こそ斎藤氏の最高傑作だとの思いを新たにした。
私はあまり漫画を読まない子どもだったけれど。斎藤本でも書かれていると思うけれど、1970年代になると梶原一騎は事実とフィクションの境界を曖昧にしながらプロレスにのめり込んでいくということがあった。野球漫画読者の「梶原一騎離れ」というのはそれと関係があるかも知れない。また、1970年代になると、野球漫画の世界は〈水島新司時代〉に入ったといえるのでは? Wikipediaを見てみたら、『男どアホウ甲子園』の連載開始が1970年、『野球狂の詩』の連載開始が1972年、『ドカベン』も1972年だった*2
私の中学・高校時代、漫画といえば(『がきデカ』のような)ギャグ漫画だったけれど、その一方で「スコポン」の方も1球投げるのに連載1回分まるまるつぶすなよとか、ギャグ漫画の一種として鑑賞されるということもあったのだった。
梶原一騎といえば、成人して以降の1980年代だけど、飲み会で一気飲みを煽るときの囃子言葉に、


いっき、いっき、百姓一揆
いっき、いっき、梶原一騎


というのがあったよね。