脈絡は全然違うようだ

朝日新聞』の記事;


金属バットで殴られ母死亡 37歳の息子を容疑で逮捕

2016年12月27日00時21分

 26日午後6時50分ごろ、名古屋市千種区光が丘1丁目の集合住宅で、帰宅した会社員男性(68)から「妻が息子に金属バットで殴られて意識がない」と119番通報があった。室内で男性の妻(64)が倒れており、愛知県警はその場にいた男性の息子で無職林宏季容疑者(37)を傷害容疑で現行犯逮捕し、発表した。

 妻は間もなく死亡が確認され、千種署は容疑を傷害致死などに切り替えて調べる方針。林容疑者は「自分がやったことになる。悪いことになる」などと容疑を認めているという。

 署によると、林容疑者は自宅で自分の母親の頭を金属バットで殴り、後頭部裂傷のけがを負わせた疑いがある。男性も林容疑者ともみ合いになり、病院で治療を受けた。3人は同居していたという。
http://www.asahi.com/articles/ASJDV7X94JDVOIPE02K.html

現在まで続報が見つからなかったので、詳しい経緯とか動機とかはわからない。
「金属バット」というと、或る年齢以上の世代では、やはり1980年に起こった一条展也の両親殺し事件*1の記憶が強いのではないだろうか。これは大学受験に挫折した中流階級(中の上)の息子の家庭内暴力だったわけで*2、今回の名古屋の事件は全然違った脈絡を有するだろうということは想像がつく。容疑者である息子が37歳の「無職」だということで。また、1980年の事件の舞台は川崎市高津区だったけれど、関東の人間には容易にそのsocial topographyは見当がつく*3。「名古屋市千種区」のsocial topographyは関東人にはお手上げ。でも、「光が丘」という日本全国何処にでもありそうな軽薄な地名から、そこが高度成長期以降に造成・開発された土地だろうとは想像できる。
1980年の「金属バット」とセットで記憶している人も少なくないんじゃないかと思うのは、藤原新也*4の写真と文章。特に『東京漂流』と『乳の海』。「金属バット」と「藤原新也」を鍵言葉にして検索すると出てくるのは、例えば、


小田光雄*5「混住社会論48 佐瀬稔『金属バット殺人事件』(草思社、一九八四年)と藤原新也『東京漂流』(情報センター出版局、一九八三年)」
「「東京漂流」藤原新也 グレートマザーに支配された都市」http://d.hatena.ne.jp/antonian/20080623/1214234854 *6

東京漂流

東京漂流

*1:See eg. 「川崎・浪人生金属バット親殺し」http://yabusaka.moo.jp/kinzokubatto.htm https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E9%87%91%E5%B1%9E%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%88%E4%B8%A1%E8%A6%AA%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

*2:殺された父親は大企業の管理職。

*3:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160124/1453608062

*4:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060909/1157773946 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080713/1215948395 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101120/1290281089 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130827/1377623249

*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080806/1218035895

*6:あんとに庵様の文章については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060314/1142342078 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060315/1142388283 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060407/1144398500 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060418/1145330536 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060426/1146067521 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060430/1146374995 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060430/1146379093 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060501/1146508243 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060508/1147057506 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060721/1153445134 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060919/1158633681 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061009/1160391996 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061030/1162201336 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061111/1163268262 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070420/1177088832 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070422/1177265280 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070427/1177654470 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070820/1187591132 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071007/1191749086 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080102/1199294584 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080506/1210009772 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080514/1210735134 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080519/1211168516 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080718/1216350252 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131024/1382585433なども参照されたい。