砂糖と醤油と出し汁

高橋良枝「関東の昔の味? 枝豆の甘辛煮」http://www.asahi.com/and_w/life/SDI2016091472321.html


枝豆といえば塩茹でということで*1、「甘辛煮」というのは考えたことがなかった。しかし、砂糖、醤油、それから鰹の出し汁というのは典型的な和風の味付け(煮付け)ではある。枝豆をそのように煮込んだら美味しいというのは容易く想像できる。にも拘わらず、何故思いつかなかったのか、世間的にもかなりの昔に廃れてしまったのかはわからない。
曰く、


昭和40年代、枝豆の甘辛煮は東京の家庭でも消えていたのだろうか。明治生まれの祖母が仕切るわが家には、化石のような関東の家庭の味が残っていたことになる。夏の初め、はしりの枝豆も煮て食べた。うちでは枝豆は夏のおかずなのである。

 枝豆は若い大豆で、枝も葉も根もついているから枝豆。枝つきでなければ、ただの若い大豆、と思うけれど、それでも枝豆として売られている。

 枝豆を新聞紙に広げて花ばさみでひと莢(さや)ずつ切り離し、莢の両端をもパチパチと切り落とす。葉や枝の陰に残された莢はないか、入念にひっくり返して探す。ほらっ、まだ残っているよ、と見つけるのはいつも祖母である。

 しっかり味のついた枝豆煮は冷めてもおいしく、前夜の残りを昼の冷や麦のおかずとして食べることもあった。ちりーん、ちりんとかすかな風に揺れる風鈴の音としゅるしゅるっと麺をすする音、枝豆を莢から歯でしごくわずかなきゅっという音、みんな懐かしい昭和の夏の音である。

今週の初めに枝豆を食べたのだが、この記事を読む以前だったので、塩茹でだった。