嗅覚の彼方?

承前*1

Agence France-Presse “Japanese military joins search for boy lost in forest for four nights” http://www.theguardian.com/world/2016/jun/01/japanese-military-search-boy-lost-forest


これは6月1日付けの記事。
6月2日の捜索については、


男児不明6日、手がかりなし 直径3キロを重点捜索

2016年6月2日19時10分


 北海道七飯(ななえ)町の山中で、5月28日から行方不明になっている北海道北斗市の小学2年生田野岡大和君(7)の捜索は、2日も続けられた。この日は185人態勢で、消防、警察のほか前日に続いて陸上自衛隊も参加したが、手がかりは見つからなかった。3日も朝から捜索する。

 午前8時半ごろから、大和君が行方不明になった現場付近を中心に、直径3キロの範囲を重点的に捜索。約1メートル間隔で横一列に並んで進む「ローラー作戦」で大和君を捜したが、手がかりは発見されず、午後6時半ごろに終了した。
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20160602004051.html

さて、1日付けの『東京スポーツ』の記事;

男児置き去り】警察犬なぜか無反応 新たなナゾ呼ぶ「嗅覚」
2016年6月1日 17時30分

東スポWeb


 地元住人も警察関係者も首をかしげている!? 北海道南部・七飯町で小学2年生田野岡大和くん(7)が“しつけ”のため置き去りにされた5分の間に行方不明となって、1日で5日目を迎えた。前日の5月31日には、両親からの要望で大和くんを降ろした車の進行方向とは異なる、北西に広がる駒ケ岳の裾野にも範囲を広げ捜索したが、遺留品などの手がかりは見つからなかった。代わりに出てきたのは新たなナゾだった――。

 31日は悪天候のため、夕刻で打ち切られた捜索活動。道警は1日、約120人態勢で再開した。七飯町は北海道を通じて陸上自衛隊にも支援を求めた。
 大和くんの置き去り現場に続く林道は、普通車2台がやっと行き交えるほどの道幅で、両脇には原生林がうっそうと茂り、地面に影を落とす。置き去りにしたとされる午後5時から1時間もたてば辺りは外灯一つなく真っ暗で、野生のキツネの姿も。当然ながら防犯カメラ映像などの客観証拠はなく、家族の記憶だけが大和くんの行方を知る手がかりだ。

 31日はもともと行方不明になった“現場”から約15キロ四方に範囲を広げ捜索する予定だったが、30日夜に両親からの「山の上の方を重点的に捜してほしい」という要請を受けて、警察や消防など115人態勢で砂防ダム沿いの林道などを捜索した。だが、遺留品や足跡は発見できなかった。

「置き去り現場から林の中に10メートルでも入ると、崖になっていて、下に沢があり、非常に危険。しかも子供の背丈では、その姿が隠れてしまう高さの草木が生い茂っている。子供が迷い込んだら前も足元も見えない」と地元関係者。

 両親は当初、山菜採りの途中ではぐれたと説明したが、車に山菜が一つもないことを指摘されると「人や車に石を投げつけたのでしつけのために車から降ろした。5分後に戻った時には姿がなかった」と発言を変えている。着ていた衣服も「Tシャツにジーパン」が途中から「紺色のジャージー」に変わった。

 大和くんを知る近隣住民は「山菜採りなら夢中になって密林に分け入る可能性もあるが、置き去りにされてわざわざ林道を外れるなんてあり得ない。この“ウソ”が初動捜査に影響したのでは。目撃情報(を市民に求めること)だって、服装くらいしか有効な情報はないのに、一刻も早くわが子を救出したいならなぜもっと慎重にならないのか」と首をかしげる

 大がかりな捜索もむなしく、何一つ手がかりをつかめないまま時間だけが無情に過ぎていく。そんななか、両親は連日のように、警察による捜索終了後、マスコミの目を避けるようにして夜半に山林に入り自主的に捜索を続けているという。

 警察関係者は「大和くんのにおいをかがせた警察犬が全く反応せずに、置き去り現場から動かない。つまり大和くんがそこにいたにおいがないということ。“置き去り現場”そのものが記憶違いなのではないかと勘繰ってしまう」とため息交じりだ。  

 ヒグマに襲われたのか、通りがかりの第三者に連れ去られたのか、林で迷子になっているのか、それとも…。一刻も早い保護が待たれる。
http://news.livedoor.com/article/detail/11590307/

何れにせよ、附近は既に雨も降ってしまい「におい」も消えてしまったので、手がかりは犬の嗅覚の彼方になってしまったわけだ*2。「記憶違い」というのはあり得る話だと思う。「衣服」についての証言が変更されていること。「山菜採り」云々という嘘は理解可能だけど、「衣服」について嘘をつく理由はないんじゃないの。だから、これは嘘ではなく、たんに父親の記憶力が悪いか、或いは(男親にはけっこういるんじゃないかと思うけど)子どもの服には無関心だったのでよく憶えていなかったという可能性がある。尤も、警察の方も曖昧な証言に頼るより、親のスマホやデジカメを貸してもらい、当日の写真という客観的な証拠に頼るべきだったのかも知れない。今どきの家族だったら、お出かけの際には写真撮りまくりでしょう。
「しつけ」か「虐待」かという論争も盛り上がっているようだが、事態の帰趨が明らかにならない限り、そういうのに参戦する気分にはなれない。
子どもの名前で検索をかけてみたのだが、上位数ページで挙がってくるのは、大手メディアの記事を差し置いて、好き放題にぴーちくぱーちくしているという感じのものばかり。


http://daily-news.jp/2016/06/01/hokkaido-of-elementary-school-sophomore-boys-of-missing-persons-case-the-voice-of-doubt-in-his-father/
http://smart-list.info/2016/06/01/tanookatakayuki-2/


小川泰平という神奈川県警の元刑事の方の推測;


(前略)小川氏は「ここで子供を誘拐するとか監禁するとか、そのための場所ではないでしょう。たまたま通りかかった人が、子供が泣いているのを見つけ保護して、早く連絡してあげようと思っているところに大捜索が始まった。ここで自分が名乗り出ると誘拐犯人と思われるかもしれないと、本当のことを言えなくなったということも考えられます。その線が強いかなという気がします。

仮に一時的に保護した人がテレビを見ていてくれたら、1分1秒でも早く110番してほしい」と話す。「プロ」の勘ということか。
(一ツ石「北海道「置き去り少年」考えにくい事故・・・たまたま通りがかって連れ去った?」http://www.j-cast.com/tv/2016/05/31268285.html?p=all

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160530/1464571057 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160601/1464712405

*2:「北海道の男児「置き去り」深まるナゾ 服装、理由などの説明「変化」が気になる人も」http://news.livedoor.com/article/detail/11595505/