矢内原伊作はあまり知らない

アルベルト・ジャコメッティを巡る人々の環の中にひとりの日本人がいた。哲学者の矢内原伊作*1。余徳耀美術館での『回顧展』*2でも、ジャコメッティによる矢内原の肖像画、また矢内原が撮影したジャコメッティの写真が展示されていた。
矢内原伊作ジャコメッティの著作を翻訳し、ジャコメッティについての本を書いた。勿論、ジャコメッティと矢内原の縁は知っていたけれど、思い出してみれば、矢内原で読んだことがあるのは、中公新書の『サルトル』くらいなのだった。読んだ当時、既にカミュにシンパシーを感じるようになったので、カミュサルトル論争*3の紹介の仕方はちょっと一方的なんじゃないかと反発もしたのだった。今回Wikipediaをちょこっと覗いてみたら、矢内原がかなりの数の著作を量産していたことに気づいた。また、タイトルや版元を見ると、それらの本たちが哲学研究者や哲学科の学生以外の読者によって親しまれていたんだなということも想像がつく。と、(何時もの)無知・無教養自慢。矢内原は1989年に71歳で亡くなっているのだが、意外と若くして死んだんだなと思った。

矢内原伊作の父親で経済学者の矢内原忠雄については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090607/1244342041 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130320/1363786985も。