逆転移?

朝日新聞』の記事;


催眠療法中、学生にキス 元教授に有罪判決 名古屋地裁

2016年5月19日16時27分


 催眠カウンセリング中に女子学生にキスをしたとして、準強制わいせつ罪に問われた中京学院大学中京短期大学部の元教授、天野寛被告(60)に対する判決公判が19日、名古屋地裁であった。鵜飼祐充裁判官は「カウンセリングを信じた被害者を裏切る卑劣な犯行」と述べ、懲役1年2カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。

 判決によると、天野被告は昨年11月28日午後、名古屋市のホテルで、カウンセリングを受けに来た当時20歳の女子学生に催眠療法を施術。意識がもうろうとしていた学生にキスをした。鵜飼裁判官は「被害者の精神的苦痛は大きく、刑事責任を軽くみることはできない」と指摘する一方で、示談の成立などを理由に執行猶予付き判決とした。
http://www.asahi.com/articles/ASJ5M4S41J5MOIPE00P.html

まあ「ホテル」で「催眠療法」というのがちょっと妖しいのだけど。それはともかくとして、クライアントが自らの愛憎の感情をセラピストに投射する転移(tansference)があり、逆にセラピストがクライアントに感情を投射する逆転移(counter-transference)がある。心理療法では、そもそもそのような心的相互作用がセラピストとクライアントの間で起こる可能性を想定しているので、転移なり逆転移を如何にしてコントロールするのかが問題になる筈。この天野さんの場合も、自らの逆転移のコントロールに失敗したということになるのか。


フロイトの提唱した転移と逆転移とは!?|例を交えてわかりやすく解説」http://psychjapan.com/335.html
「転移」http://w-heart.net/justy/seven/2005/10/post_7.html
「「転移」と「逆転移」」http://www.j-phyco.com/category1/entry33.html
精神分析心理療法と転移について」http://www.kiyosushinri.com/blog/2014/01/post-13.php


さて、「催眠」*1に対する根柢的な批判として、柴田翔の『われら戦友たち』をマークしておくというのは、強ち的外れとも言い切れないだろう。

われら戦友たち (文春文庫)

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