「停職6カ月」

朝日新聞』の記事;


学生に何度も恋愛感情伝えるメール、佐賀大准教授を処分

浜田祥太郎

2016年10月3日22時33分

 佐賀大学は3日、元学生に不適切な発言をしたり、恋愛感情を伝えるメールを何度も送ったりしたとして、教育学部の50代の男性准教授を停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。9月23日付。

 大学によると准教授は2012年2月、研究室で当時4年の女子学生に対し、学生の両親の結婚に関して侮辱する発言をした。また、11年10月〜12年3月、「結婚してほしい」などと繰り返しメールを送信。やりとりは約70回に上ったという。

 学生が12年5月に大学に相談した。その後学生側が「准教授の発言で信仰の自由と名誉感情を侵害された」として佐賀地裁に提訴し、大学の調査は止まっていた。今年1月、大学が学生らに計8万8千円を支払うよう命じた判決が確定したことを受け、調査を再開したという。

 同大の門出政則理事は「大学として深く反省すると同時に、(ハラスメント防止の)活動を続けないといけないと反省している」と話した。

 この准教授は06年にも別の女子学生の家族に暴行を加えたなどとして、懲戒処分になっている。(浜田祥太郎)
http://www.asahi.com/articles/ASJB367D7JB3TTHB00T.html

「停職6カ月」か。学校関係の不祥事で「停職6カ月」になった最近の事例*1と比較して、これが妥当なのか軽すぎるのかというのは問題になるだろうね。
ところで、ハラスメント事件に関しては、被害者のプライヴァシー保護ということで、事件の詳細は公開されず、ただ懲戒処分が行われたという事実が匿名的に告知されるだけということも少なくない*2。この件はそれとはちょっと違って、断片的な事実が相互の脈絡抜きで貼り付けられているために、全体像がぼけぼけになってしまっている感じ。佐賀大学の情報公開の仕方が悪いのか、それともそれを記事化した浜田祥太郎が馬鹿なのか、よくわからない。「学生の両親の結婚に関して侮辱する発言」と「結婚してほしい」との関係は? そもそも、どういう文脈で「結婚してほしい」が出てきたの? 親密性が深まり、〈逢坂の関〉を越えて*3、互いにセクシュアルなパートナーとなって、それから「結婚してほしい」になるわけでしょ。そういうプロセスを抜きにしたいきなりの「結婚してほしい」は多くの場合、キモい! ということになる。「結婚してほしい」だけど、プロポーズしたりするのは個人の自由である筈で、「繰り返しメールを送信」したことがストーカー行為として問題視されたわけだろう。しかし、その次のセンテンスには「やりとり」という言葉がある。「やりとり」(応酬)には相互性、対称性の含意があり、一方的にやられているという場合、「やりとり」(応酬)という言葉は使わない。「やりとり」が成立しているとしたら、ストーカー行為は成立しないことになる。どうなのだろうか。また、この被害者の方は佐賀大学を相手に訴訟も起こしているわけだ。佐賀大学が訴えられたのは所謂使用者責任ということでしょう。疑問としては、何故そのとき「男性准教授」本人は被告にならなかったのか。また、「准教授の発言で信仰の自由と名誉感情を侵害された」ということなのだが、これは「結婚してほしい」攻撃とは別件だろう。「信仰の自由と名誉感情を侵害された」というのは或る特定の宗教的実践を妨害されるとか、逆に強制されるととかいったことでしょ? こっちの方は大学の処分の対象とはならなかったのか。