日曜日のこと

日曜日は午後4時成田発のデルタ航空機で上海に帰る筈だったのだが、上海が悪天候だということで、出発時間は先ず4時40分に、次いで5時25分に変更された。
空港の改造社書店で、吉増剛造『我が詩的自伝 素手で焔をつかみとれ!』(講談社現代新書、2016)とEzra E. Vogel、橋爪大三郎『邓小平』(講談社現代新書、2015)を買う。さて、何故か原田マハという作家が気になって、帰る前に、彼女の小説を1冊か2冊買おうと思っていたのだが、空港の書店には「原田」のハの字もなかった。やはり街場で買っておくべきだったか。

飛行機の中で、土井裕泰の『ビリギャル』(主演は有村架純*1を観た。色々と考えさせられる映画ではある。ただ、〈映画〉である必然性は稀薄。また、名古屋が舞台であるわけだけど、非名古屋人にとっては、映画に出てくる様々な場所の位置関係がよくわからないというもどかしさはある。主人公は家、学校、塾、盛り場を、バスでも地下鉄でもなく、自転車で往来しているわけだけど。それから、くだらない疑問を呈しておくと、何故「近畿学院」という架空の大学が登場したのか。これはKindai University not Kinky University*2じゃなくて、関西学院ですよね。関西学院からうちの名前を出すなというクレームがついたわけ? 母親役の吉田羊はいい女優だと思った。また、あのあがた森魚が役者として出ているというのも吃驚。映画が終わってから、3頁くらい読み残しがあったDavid Bellos Is That a Fish in Your Ear?*3を読了してしまう。それから、The Chainsmokersという反時代的な名前のユニット*4BouquetというEPを聴く。ドゥルッティ・コラムの系譜を引いているんじゃないかという感じの綺羅綺羅して凶暴な静謐さと浮ついた感じの共存。
Is That a Fish in Your Ear?: The Amazing Adventure of Translation

Is That a Fish in Your Ear?: The Amazing Adventure of Translation

Bouquet

Bouquet

飛行機は北京時間19時4分頃に浦東空港に着陸。悪天候の峠は越えていたものの、雨の上海。
ところで、日本滞在中に読了した本は、ディクソン『言語の興亡』*5のほかは、大江健三郎『取り替え子』*6丸谷才一『ゴシップ的日本語論』、若田恭二『〈わたし〉という幻想、〈わたし〉という呪縛』くらい。
言語の興亡 (岩波新書)

言語の興亡 (岩波新書)

取り替え子 (講談社文庫)

取り替え子 (講談社文庫)

ゴシップ的日本語論 (文春文庫)

ゴシップ的日本語論 (文春文庫)