〈娘の運動〉ではなかった?

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150326/1427349424に対して、


nessko*1 2015/03/26 20:21
1960-70頃は、ウーマンリブという言い方がありましたよね。和製英語だそうですが。
子供だったので記憶はうろんで、後で本で読んで知ったのですが、ウーマンリブと言っていた頃は大衆運動だったのでは。フェミニズム、という呼び方が出てきたのが、大学でその大衆運動を学問の研究対象にする人が出て来てからじゃなかったでしょうか。
大学の事情がよくわからないので、私個人の印象になりますが。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150326/1427349424#c1427368863
というコメント。
まあ和製英語でしょうね。ただし、women's libという英語の言い方は存在します*2。元々複数形だったのが日本では単数形になって、さらに所有格が抜け落ちてしまった。言う迄もないですが、libはliberation (movement)の略。ただ、


リブ  大衆運動(実践)
フェミニズム 学問


という区別には疑問を感じます。運動に対する学問ということだと、寧ろ対応するのは〈女性学(women's studies)〉だと思います。因みに、1979年には、原ひろ子、岩男寿美子『女性学ことはじめ』という本が出ているのですが、私が大学生だった1980年代前半に「女性学」という科目があったのは和光大学くらいだったように思います。たしか、井上輝子先生*3の。また、「女性学」の思想史的意味については、例えば上野千鶴子「女性学とは何か」(in 山村嘉己、大越愛子編『女と男のかんけい学』明石書店、1986、pp.1-23)も参照のこと*4

女性学ことはじめ (1979年) (講談社現代新書)

女性学ことはじめ (1979年) (講談社現代新書)

女と男のかんけい学

女と男のかんけい学

ところで、日本語版Wikipediaには「ウーマン・リブ*5と「ウーマンリブ運動」*6という項目がある。さて、「ウーマン・リブ」の英語版は”Feminist Movement”で*7、「ウーマンリブ運動」には英語は対応していないものの、中国語版は「女性主義」となっていて*8、これはfeminism の標準的な中国語訳(直訳)。勿論「フェミニズム」という項目もある*9Wikipediaの錯綜ぶりに嵌ってかなり頭がこんががってしまったのだ。
それはさておき、日本語でいうところの「ウーマン・リブ」は所謂「第2波フェミニズム」に対応するのだろうけど、今回、(田原総一朗夫人としても知られる)田原節子(村上節子)さん*10の語り*11を読んでみて、以外に思ったことが2つほどあった。先ずは(当たり前のことかも知れないが)「ウーマン・リブ」は研究運動という側面が強かったこと。 村上節子さんもNTVのアナウンサーだったわけだけど、メディア関係で働く女性の参加が多かった。かつて上野先生がフェミニズムは〈娘の運動(思想)〉だったというようなことを書いていたのだけれど、それに反して、「ウーマン・リブ」の中心的な参加者は既婚の女性が多かった。村上節子さんもそうだし、1970年代から1980年代にかけて〈左翼のアイドル〉だった中山千夏も1970年代には既婚者だったのだ。